亡くなった息子の嫁から家を出て行けと言われています。

Legalus編集部さん 2015年07月22日

20年前に自宅を購入しました。自宅の購入資金は私が全額出しましたが、登記は私の息子名義にしました。その後、息子は結婚し子供も産まれました。私は、息子・嫁・子供と同居していました。ところが先日、息子が病気で亡くなり、お通夜の席で嫁から「家を出て行って」と言われました。私は嫁の主張に対抗することはできないのでしょうか。



(70歳以上:女性)

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Legalus編集部

     嫁さんがあなたに対して「家を出て行って」と言ったのは、嫁さんが息子さんから自宅を相続しその所有権を取得したことを根拠としていると思われます。嫁さんが自宅を相続するためには、息子さんの死亡時に自宅が息子さんの所有であったことが必要となります。



     では、息子さんの死亡時に自宅は誰の所有であったのでしょうか。一方で、息子さんは自宅の所有権登記名義を有しています。他方で、自宅の購入代金はあなたが支出しています。このような場合、自宅の所有権は息子さんとあなたのいずれに帰属するのかが問題となります。

     自宅の所有権の帰属については、自宅の売買契約の買主がいずれであったかを検討する必要があります。すなわち、売買契約(民法555条)を締結すると、目的物の所有権は買主に移転する(民法176条)ことから、自宅の買主が息子さんとあなたのいずれであったかを確定しなければなりません。



     あなたが売買契約の買主として自宅を購入しその資金を支出した場合、自宅の所有権はあなたに帰属します。この場合、息子さん名義の所有権登記は実体を正確に反映していないものですから、その効力を有しません。そうすると、息子さんの死亡時に自宅は息子さんの所有ではなく、嫁さんは自宅を相続しないから、嫁さんは、あなたに対して「家を出て行って」という権限を有しません。したがって、あなたは嫁さんの退去要求を拒否することができます。

     自宅を購入したのが20年前であることからすると、嫁さんは自宅の時効取得(長年にわたって物を占有した場合に物の所有権を取得する制度:民法162条1項)を主張する可能性があります。しかし、本件で時効取得が成立するためには、息子さんが「所有の意思をもって」自宅を占有していたことが必要になります。自宅の売買契約の買主があなたであることからすると、客観的に息子さんには「所有の意思」を認めることができません。したがって、息子さんの立場を相続した嫁さんには時効取得は成立せず(民法185条、162条1項)、嫁さんは退去要求する権限を有しないから、あなたは退去要求を拒否することができることになります。



     これに対して、息子さんが売買契約の買主として自宅を購入する際、あなたがその購入資金を息子さんに贈与したということが考えられます。この場合、自宅の所有権は息子さんに帰属します。息子さんの死亡時に自宅は息子さんの所有であったので、嫁さんは自宅の2分の1を相続することになります。嫁さんは、あなたに対して「家を出ていって」という権限を有することになります(民法252条但書)。

     もっとも、あなたが自宅の購入資金を全額支出したことやあなたと息子さん家族が同居して生活していた事実からすると、あなたと息子さんとの間では、あなたがずっと自宅に住んでもよいということが了解事項となっていたと推測できます。そこから、あなたと息子さんの間には「あなたが自宅で居住すること」を目的とする黙示の使用貸借契約(民法593条)が成立する可能性がありあす。すなわち、息子さんはあなたに対して自宅の使用権を与えていたと考えることができそうです。黙示の使用貸借が成立していたとすると、嫁さんは、息子さんの使用貸主の地位を相続することになります。そして、あなたはいまだ居住目的に従って自宅を使用中であるから、嫁さんのあなたに対する「家を出て行って」という主張に対して、あなたは、自宅の使用権限を有することを理由として退去要求を拒絶することができます(民法597条2項本文)。



     仮に、使用貸借契約が成立していなかったとしても、あなたが自宅の購入資金を全額支払ったことや現在まで同居していたこと、息子さんのお通夜の席で突然「家を出て行って」と言ったことからすると、嫁さんの主張は権利の濫用(権利の行使が社会性に反し是認することができないこと:民法1条3項)となり、その主張はそもそも認められないと考えることも可能です。



     いずれにしても、あなたは嫁さんの「家を出て行って」という要求を拒否できると考えます。

2015年07月22日

不動産登記に強い弁護士

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