無償で貸している土地、20年で相手の物に!?

Willie1028さん 2016年10月31日

私のいとこ夫婦は、父親の遺産相続で得た私の土地に店を建て、うどん屋を経営しています。土地は無償で貸しているのですが、なにもいわずに20年間そのままにしておくと、「所有権の時効取得」が成立し、いとこ夫婦が所有者となってしまうと聞きました。

 もうすでに20年以上が過ぎました。いとこ夫婦から土地を明け渡してもらう手段はないものでしょうか?

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中西 啓

エヴィス法律会計事務所 06-4707-8004 大阪府
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     ご相談者様がおっしゃっているのは、「所有権の取得時効」(民法162条)のことかと思われます。確かに、長期間他人の者を占有すると、時効によってその所有権が取得できる、というケースがあります。
     しかし今回の場合は、適用にならないと考えるのが一般的でしょう。

     その理由は、借主に「借りている」という意識があるからです。正しく言い換えると「所有する意思がない」ということ。
     同条1項によると、相談者様がおっしゃる通り20年間の継続した占有が必要となりますが、その時効取得が成立するためには、「所有の意思」が必要になるのです。
     そのため、借主がたとえ20年以上土地や建物を使用し続けたとしても、その不動産を時効取得できることはありません。

     もう少し細かく見ていきましょう。
     今回の場合、相談者様は無償ではありますが、あくまでも土地を"貸し出している"ということになります。これは民法593条以下で定められる「使用貸借契約」の成立にあたります。

     しかし、賃料を支払っていないという点には少し注意が必要です。仮にいとこ夫妻が「無償で借りているのではなく、もらった土地だ。その証拠に、賃料などが発生していない」という主張をしてきた場合には、賃料が無償であることと、いとこ夫妻の言い分が虚偽であり、「所有の意思」がなかったことを証明しなくてはなりません。

     では次に、土地を明け渡してもらう方法について考えてみましょう。
     今回は、使用貸借契約を前提として説明をしていきます。まず、貸した物を返還してもらう時期は民法597条にて規定されています。もしも契約時に、返還の時期が決められていない場合は、同条の2項が適用となります。

     597条2項の内容を要約しますと、契約に定めた目的に従い、借り主は「使用及び収益を終わった時」に借りた物を返還しなくてはならない、というものです。今回のケースですと、いとこ夫妻はうどん屋を経営しているので、「使用及び収益を終わった時」という理由で明け渡しを求めるのは難しいでしょう。

     しかし、597条2項には、「ただし、その使用及び収益を終わる前であっても、使用及び収益をするのに足りる期間を経過した時は、貸主は、直ちに返還を請求することができる」とも定められています。
     つまり、20年間以上その土地を使ったことが「使用及び収益をするのに足りる期間を経過した」と捉えられるかどうかがポイントになるわけです。

     過去の事例では、38年経過したものについて、この条文を適用すると判断したものもあります。今回のケースでも、この条文を根拠として土地の返還請求を行うことができるでしょう。
     なお、「20年以上の使用によって、使用及び収益を得るのに足りる期間を経過した」という主張と共に、なぜご相談者様がその土地を必要としているのか、という事情についても主張するようにしてください。

     長々と説明してきましたが、まずは内容証明郵便で、使用貸借契約の終了に基づき土地の返還請求を行ってみましょう。
     もしも「すぐに返すことはできないから、もう少し待って欲しい」というような返答があれば、使用賃借契約の存在の証拠にもなります。
     とりあえず、こうした行動を起こすのが第一歩と言えるでしょう。

2016年10月31日

ご回答ありがとうございました。

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木野 達夫

宝塚花のみち法律事務所 0797-85-3770 兵庫県

    1.「所有権の時効取得」が認められるためには,「所有の意思をもって」20年間あるいは10年間占有する必要があります(民法162条)。

    2.「所有の意思をもって」占有したか否かは判断が難しい場合がありますが,ご相談の内容の場合,「土地は無償で貸している」とのことですので,「いとこ夫婦」は「借主」の意思で占有しており,「所有の意思」は認められないかと思います。

    3.したがって,本件の場合,「所有権の時効取得」が成立して「いとこ夫婦」が所有者となってしまうことはないと考えられます。

2016年11月07日

ご回答ありがとうございました。

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高濱豊彦

高濱法律事務所 042-451-7436 東京都

     あなた様がお父様から相続なさった土地の所有者として,いとこ夫婦に合意の上で無償でお貸しになったのならば,両者の間に使用貸借契約が成立しているものと考えられます。
     ただ,この使用貸借契約を立証する必要がありますが,土地の登記簿謄本以外に契約書,念書など書面がない場合,いとこ夫婦に電話をかけ,「貸している」つまりいとこ夫婦の所有権を認めているわけではないことを認めさせてその発言を録音しておくのが一つの方法です。
     この使用貸借関係を立証すれば,取得時効によっていとこ夫婦が所有者になってしまうことを防ぐことができます。
     次に,土地を明け渡してもらうには,この使用貸借契約を終了させる必要がありますが,あなた様と従兄弟夫婦との間で返還時期を定めておかなかった場合,地上に建物を建ててうどん店を経営するという貸借目的を定めていたときは,その目的にしたがって使用・収益を終わったと考えられる時期に返還すべきこととなります。判例によれば30~40年でしょうか。貸借目的も定めておかなかったときは,あなた様はいつでもいとこ夫婦に土地の返還を請求できます。
     返還請求は,弁護士を通じ,内容証明で返還請求し,交渉がまとまらなければ調停,訴訟によることになります。

2016年11月04日

ご回答ありがとうございました。

小川 智史

神田須田町法律事務所 03-6859-7313 東京都

    <当然に取得時効が成立するわけではありませんが、事実関係の立証等にもよります>

    取得時効の成立要件の1つとして、「所有の意思」をもって不動産を占有している必要があり、賃貸借・使用貸借の場合は借主側に「所有の意思」は認められないとされます。
    もっとも、いとこの方から賃料の支払もなく、契約書も作成していないとなると、「そもそもこの土地は私の所有する土地である」として、取得時効を主張される可能性があります。
    取得事項の成否に関しては、土地の使用状況や、固定資産税の納付状況の他、諸事情を総合考慮して判断されます。
    まずはいとこの方と話し合いをしてみて、難しいようであれば弁護士に依頼頂いて、取得時効の成否を含めて詳しく検討する必要があるかと思います。

2016年11月02日

ご回答ありがとうございました。

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