弁護士コラム

むち打ち(頸椎捻挫)での症状固定の考え方について

[投稿日] 2018年06月25日 [最終更新日] 2018年06月25日
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岡田 正樹 弁護士 むさしの森法律事務所

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1 症状固定というのはどういう時に使われますか
一般に症状固定は,治療効果が認められなくなった状態であって,後遺障害を前提とする「ことば」です。
しかし,現実には頚椎捻挫(むち打ち)に関しては損害保険会社(共済)が治療費の支払いを打ち切る「ことば」として用いられている傾向があります。
ですから,症状固定に応じて後遺障害申請をしても,結局は非該当ということがよく起こるのです。
そして,症状固定となると,治療費はもちろん休業損害も支払いが打ち切られ,必要なものは自己負担となるので,ことは重大です。

2 症状固定とは「損害保険会社」としては,どのような使い方をしますか
自賠責保険が準拠している労災保険では,「症状固定」とは,「傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法をもってしても,その効果が期待し得ない状態で,かつ,残存する症状が,自然的経過によって到達すると認められる最終の状態」を言います。

ところで頚椎捻挫(むち打ち)は他覚的所見がない自覚症状(特に痛み)のみと言うものが大半です。
そのようなことを踏まえて,損害保険会社(共済)は,「症状固定」を「症状安定」と読み替えて対応していると考えるべきです。固定と安定は似ているも非なものです。
その考えのスタンスは,次のようなものです。
①その時点まで十分な治療がなされたと損害保険会社(共済)が考えている。
②診断書・診療報酬明細書,施術証明書・施術費明細書から見て最近(あるいは受傷直後から)2,3ヶ月は対症療法に終始していて症状が「安定」している。
③今後新たな検査や治療の予定がない 。

対症療法というのは,原因に対する治療ではなく症状の軽減を目的としたものです。
そして,頚椎捻挫(むち打ち)はヘルニア等で切除術・固定術といった手術を予定しているレアな場合を除いては,ほとんどが対症療法です。
したがって,頚椎捻挫(むち打ち)の場合には安静期を過ぎて2,3ヶ月の治療期間を過ぎてくると常に症状固定(安定)とされる状態にあるといえます。

3 どのような場合に「症状固定」とされやすいでしょうか
症状固定というと,固定ということばから回復が困難という被害者としても納得をしているような場合を想像するかもしれません。
もちろん,そのような場合もあります。
しかし,頚椎捻挫(むち打ち)は,症状固定を症状安定と読み替えることから次のような記載が診断書にあると症状固定とされやすいと言えます。
なお,以下の事柄が現実に当てはまるならば後は自然治癒に任せるという選択をすべきです。

○改善傾向にある
○まだ痛みは残るが,天候・温度・湿度次第で軽減(緩解)したり増悪したりする
○動作時(運動)痛のみが残る
○仕事に復帰したが体を動かしたため痛みがぶり返した

もし,これらが事実ならば別ですが,事実と異なったり誇張があるのであれば患者として訂正を求めるべきではないでしょうか。

4 むち打ち症(頸椎捻挫,外傷性頸部症候群)の症状固定日
通常は,後遺障害診断書記載の日付が症状固定日となります。
しかし,治療が長期化したと見られる場合には,加害者側から後遺障害診断書の日付よりもっと早い時期に症状固定したはずであると争いになることがあります。
訴訟を舞台にして,症状固定日が争われる場合には,加害者側から医療記録の取り寄せがされて,それに基づいてのより具体的な主張,立証がされることもあります。

5 情報の開示を考えるべきです
被害者は医療機関あるいは接骨院(整骨院)の当然ながら患者でもあります。
ご自分の治療に関してどのような記載が診断書・施術証明書等に記載されているのか,驚くほどご存知ない方が多くいます。
実際には,最後まで知らない方が大半かもしれません。
特に,損害保険会社(共済)からの一括払い制度によって治療費用が支払われている場合には,関心を持たないのも無理のない話かと思います。
しかし,それらに記載された何気ない一言で足下をすくわれることもあり得るのです。
そして,情報の開示は損害保険会社(共済)に対してもできますし,ご自分の情報ですから,個人情報開示等でチェックしておくことが重要です。
あるいは,担当の医師や医事課の方に思い切って尋ねたり相談するなりすべきです。

何か,打ち切りなどのトラブルが発生してしまったときに慌てないように,事前にご自分の情報を入手することの方が重要ではないでしょうか。

岡田 正樹 弁護士

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