弁護士コラム

思った通りの後遺障害等級認定がなかなかされないで異議申立をしていたら,もうすぐ症状固定日から3年間経ってしまいそうです。こういう場合も消滅時効にかかってしまうのでしょうか。

[投稿日] 2018年12月16日 [最終更新日] 2018年12月16日
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岡田 正樹 弁護士 むさしの森法律事務所

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認定された等級に不満がある場合に(特に非該当),異議申し立てをすることが多くあります。ところが,ようやく等級認定されても症状固定日から3年間過ぎてしまっていると大変なことになります。認定結果が変わらなければもっとひどいことになります。

1 不法行為の消滅時効の起算点
交通事故による損害賠償請求権は,民法の不法行為の消滅時効の規定のとおり起算点,つまり始まりについては,被害者またはその法定代理人が「損害及び加害者を知ったときから」とされています(民法724条前段,改正法では724条1号)。

2  損害発生を現実に認識するとは何か
後遺症については,多くは受傷後まもなく発現していたが,残存して固定するのに相当期間が必要であったという場合に,いつから時効が進行するのかは,期間が現行法では3年間であることからあっという間に過ぎていきます。
判例では,後遺症が顕在化したときが「損害を知ったとき」であり,後遺症に基づく損害であって,その当時において発生を予見することが社会通念上可能であったものは,すべて認識があったものとして時効は進行するとしています(最高裁昭和49年9月26日判決)。
問題は,症状固定とされて後遺障害等級が認定されるまでに相当期間が経過した場合に,症状固定日と等級認定日のいずれが起算点となるかです。

3 後遺障害等級認定と消滅時効の関係
最高裁平成16年12月24日判決は,2の点について自賠責の等級認定のための経過期間は,消滅時効進行に影響しないという判断を下しました。
つまり,症状固定日と等級認定日のいずれが起算点となるかについて症状固定日であるとの判断を出したのです。

最高裁判決は,次のように述べています。
「遅くとも上記症状固定の診断を受けた時(注:症状固定日)には、本件後遺障害の存在を現実に認識し、加害者に対する賠償請求をすることが事実上可能な状況の下に、それが可能な程度に損害の発生を知ったものというべきである。
自算会による等級認定は、自動車損害賠償責任保険の保険金額を算定することを目的とする損害の査定にすぎず、被害者の加害者に対する損害賠償請求権の行使を何ら制約するものではないから、上記事前認定の結果が非該当であり、その後の異議申立てによって等級認定がされたという事情は、上記の結論を左右するものではない。
そうすると、被害者の本件後遺障害に基づく損害賠償請求権の消滅時効は、遅くとも症状固定日から進行すると解されるから、本件訴訟提起時には、上記損害賠償請求権について3年の消滅時効期間が経過していることが明らかである。」

4 注意しましょう
後遺障害認定等級を追求したい心情は理解できます。
しかし,根本となる不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効は症状固定日から起算されることを肝に銘じるべきです。
認定制度と時効とは関係しない以上は,時効中断の措置を執っておくかあるいは,それまでに方針を定めて訴訟提起をすべきです。

岡田 正樹 弁護士

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