弁護士コラム

DeNAのキュレーションサイトに関する問題について

[投稿日] 2016年12月11日 [最終更新日] 2016年12月22日
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小川 智史 弁護士 神田須田町法律事務所

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 近時、DeNAがキュレーションサイト(いわゆる「まとめサイト」)で不正な情報等を発信していた点が、大きな問題として報道等で取り上げられました。

 そこで、上記キュレーションサイトに関し、1.不正確な医療情報を提供していた点、2.他人の記事を転用して記事を作成していた点、3.外部のライターに非常に安い単価で大量に記事を作成させた点、について、法的な検討を行ってみたいと思います。

 

1.不正確な医療情報を提供していた点について

 (1)まず、上記表示に関しては、医薬品等に関し虚偽又は誇大な広告を記述・流布しており、医薬品、医療機器等の性質、有効性及び安全性の確保に関する法律に違反する疑いがあります(66条~68条、報道でいう「薬機法」、旧「薬事法」)。

  そのため、報道等によれば、東京都が薬機法違反の疑いについてDeNAに対する調査を開始したようです。

  なお、医薬品等に関する虚偽又は誇大な広告・記述・流布(同法66条1項)、認証を受けていない医薬品についての効果、効能、性能等に関する広告(同法68条)を行なった場合、2年以下の懲役もしくは罰金に処し、又はこれを併科するとされます(同法85条4号、5号)。

 

 (2)それ以外の法的問題としては、上記キュレーションサイトの表示を信じて、閲覧者が誤った医薬品を使用して健康被害が生じた場合、理論上は閲覧者に対し不法行為に基づく損害賠償責任(民法709条)が発生する可能性があります。

 ただ、そもそも医薬品の使用については、医師や薬剤師に確認して使用すべきであり、安易に上記キュレーションサイトを信じて医薬品を使用した点について、閲覧者にも重大な過失があるとして、過失相殺により大幅に損害賠償額は減額されるものと思われます(民法722条)。

 

 (3) その他、DeNAがキュレーションサイト運営により広告料収入を得ていた場合、一般に広告契約に関しては広告元に対し信用保持義務があるというべきであり、広告元の信用を棄損したとして、広告元に対し広告料返還等の賠償義務が発生する可能性があります。

 

2.他人の記事を転用して記事を作成していた点について

 (1)元々の記事が「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」の場合は、著作物にあたり(著作権法2条1項1号)、著作権法上の保護対象となります。

 著作物については、著作者に同一性保持権(同法20条)や複製権(同法21条)が認められるため、原則として無断複製・転用することはできません。ただし、公表された著作物を引用することはできますが、その場合においても、公正な慣行に合致するものであり、引用の目的上正当な範囲内で行われなければならないとされます(同法32条1項)。

 転用元の記事が著作物に当たるか否かは、上記定義を踏まえ、個別具体的に検討を行う必要があります。

 

(2)DeNAが転用元の著作権を侵害した場合、著作権者は、DeNAに対し、著作権侵害行為の停止又は予防を請求することができます(著作権法112条)。

 また、民法の不法行為に基づく損害賠償請求も可能ですが(民法709条)、著作権侵害の場合、交通事故等に比べて損害の算定が容易ではありません。そこで、著作物侵害者が著作権侵害により利益を得ている場合には、侵害者が得た利益の額を著作者の損害額と推定します(著作権法114条2項)。

 上記1(3)で述べた通り、DeNAがキュレーションサイト運営により広告収入を得ていた場合は、著作権法114条2項により、各記事ごとに著作者の損害と推定される可能性が高いですが、DeNAが広告元への広告料返還・その他の損害賠償を行なう場合には、判断が難しいところです。

 

3.外部のライターに非常に安い単価で大量に記事を作成させていた点について

(1) 基本的には、雇用ではなく請負契約だと思いますので、下請法等の特別法に抵触しない限り、契約自由の原則により、ライターとの関係では直ちには違法性は認められないと思われます。

 

(2) ただ、もしDeNAがライターに対し「これに応じなかったらこれからは発注しませんよ。生活が成り立たなくなってもいいんですか。」という風な趣旨の要請をしていた場合には(あくまで仮定の話ですので、DeNAが実際にそのような手法を用いていたという意味ではありません)、その態様によっては、理論上は、暴利行為として公序良俗違反により請負契約は無効であり(民法90条)、適正価格との差額に関し、ライターがDeNAに対し、①不当利得返還請求(民法703条)、あるいは②不法行為に基づく損害賠償賠償請求(民法709条)を行なう余地がないとは言えません。

 もっとも、①については、「クリーン・ハンズの原則」といい、不法な原因に基づき給付(本件では記事の作成)を行なった場合、原則として不当利得の返還請求は認められないとともに(民法708条)、②についても、ライターについても過失相殺(民法722条)により損害賠償額が減額される可能性が高いです。

 具体的な請求の可否については、ライターが著作権侵害について認識ないし容易に認識可能であったか、DeNAとの間でいかなる経緯で記事作成を請け負ったか等を踏まえ、個別具体的な判断になると思います。

 

4.コラムの訂正について

 毎回のようにコラムの訂正が発生し大変申し訳ありませんが、昨日投稿した「成宮寛貴氏に関する週刊誌報道について」のコラムのうち、3(2)第1段落の刑法230条の2第1項の要件に関し、「真実性の証明」の要件は③番目の要件として、②目的の公益性、の要件と区別する必要がありますので、訂正いたします。

 なお、きちんとフライデーの記事を確認してから法的問題について検討すべき、というご意見もあるかもしれません。しかし、昨日も指摘しました通り、薬物使用疑惑に関する報道はともかく、同性愛に関する報道は成宮氏のプライバシー権を侵害する可能性が高いところ、(1)私がわざわざフライデーを購入すれば、フライデーを発行する講談社を利する結果になるとともに、(2)コンビニ等で立ち読みした場合でも正確に記憶できるとは限らないとともに、コンビニ等に迷惑をかけますので、今回はその他の報道等を基に法的検討を行うことと致します。

小川 智史 弁護士

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