弁護士コラム

プレミアムフライデーの導入について

[投稿日] 2017年04月19日 [最終更新日] 2017年04月19日
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小川 智史 神田須田町法律事務所

依頼者のために最善を尽くしていきます

 本年2月から、第4金曜日に午後3時の退社を推奨する「プレミアムフライデー」制度が導入されました。同制度は、通常よりも早い時間での労働時間の終了により、普段よりもプレミアムな生活を推奨する個人消費喚起にあるとのことです。

 上記「プレミアムフライデー」の導入により、労働法上、第4金曜日に午後3時での退社が可能となるのか、会社の就業規則の定め等との関係について、以下の通り検討を行います。

 

1.就業規則の定めがある場合や裁量労働制の場合について

(1)まず、会社の就業規則において、フレックスタイム制等の変形労働時間制や、第4金曜日に午後3時での退社を認める旨の定めている場合には、当該就業規則の規定を運用することにより、「プレミアムフライデー」に午後3時での退社が可能になると思われます。

(2)また、裁量労働制の対象となる労働者についても、そもそも時間制の勤務ではなく、業務の達成を目的として、労働時間の管理は労働者にゆだねられているとの前提に立つことから、同様に午後3時での退社は可能でしょう。

 

2.就業規則で固定時間制が定められている場合について

 それでは、休憩時間を含む出勤時間について、例えば「午前9時~午後6時」等の固定労働時間制として就業規則で定められている場合、労働者がプレミアムフライデーの消化を理由に午後3時で退社する方法はとりうるのでしょうか。

 

(1)労働者がプレミアムフライデーにより早退する方法

  就業規則で固定時間制が定められている場合に、労働者が午後3時で早退してプレミアムフライデーを消化する方法として、午後3時以降を有給休暇扱いにする方法が考えられます。

 この場合において、時間単位での有給休暇申請が可能か否かが問題となりますが、労働者の過半数を代表する労働組合若しくは労働者の過半数代表者と会社との間で書面による協定がある場合には、年間合計5日分を上限として、時間単位での有給休暇取得が可能とされます(労働基準法39条4項)。

 もっとも、時間単位の年休取得申請についても、使用者は事業の運営上、時季変更権を行使することができます(同条5項但書)。そのため、実際問題として、その週のうちに仕事を仕上げなければならない場合等、プレミアムフライデーを理由とする早退が業務上支障をきたす場合には、会社側が早退を認めず、事実上労働者によるプレミアムフライデーの消化が困難となるおそれがあります。

 

(2)責任者の許可を得た場合

  上記(1)で述べた有給休暇請求権行使によるプレミアムフライデーを理由とする早退について責任者の許可を得た場合は、適法な有給休暇請求権の行使という帰結になります。

 また、年休休暇請求権が発生していないか、時間単位行使に関する労使協定が存しない場合であっても、責任者の許可を得た場合には、早退の正当事由に当たるというべきでしょう。

 そうすると、形式的に就業規則に抵触したとしても、責任者の許可により早退の正当事由に当たると思われ、会社側は懲戒処分等の制裁を科すことは認められないというべきでしょう。

 

3.まとめ

 以上の点を踏まえると、「プレミアムフライデー」自体は導入されたものの、会社側が午後3時での業務終了を推奨しない限り、労働法上は、「プレミアムフライデー」であることのみをもってして労働者が午後3時で業務を終了することは容易でないと思われます。

 また実際問題として、顧客や取引先等との関係で対応の必要がある場合、一斉に午後3時で業務を終了することは容易でないと思われます。仮に午後3時に切り上げたとして、後に仕事が溜まってしまい、翌週の月曜日等にその分残業が増えることになれば、かえって全体の勤務時間バランスを崩す恐れがあるのではないか、という疑問は残ります。

 果たして「プレミアムフライデー」により個人消費喚起という効果を上げることができるのか否かは分かりませんが、まだ導入されて間もない制度ですので、今後の推移を注視していく必要があるでしょう。

 

コラムの内容は更新時のものであり、最新の情報と異なることがあります。

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