弁護士コラム

破産申立の際の法的注意点①(免責不許可事由について)

[投稿日] 2017年07月25日 [最終更新日] 2017年07月25日
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小川 智史 神田須田町法律事務所

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 借金を抱えてどうしても返済が困難な場合、自己破産を選択する必要が生じる場合があります。ただ、破産手続開始申立を行なった場合でも、一定の場合において債務の免責に関して法的制約があります。いくつか主要な注意点がありますが、まず、免責不許可事由について整理しておきたいと思います。

 

1. 破産手続開始申立てに至る経緯において破産者の行為に悪質性が存する場合等、一定の場合において免責不許可事由が定められています。主な内容は以下の通りです。

 (1)債権者を害する目的で、財産の隠匿・損壊等を行なった場合(破産法252条1項1号)

 →資産隠し目的での第三者への贈与等が典型例ですが、安価での資産売却も、内容によっては該当する可能性があります。

 (2)破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担するなどした場合(同条1項2号)

 →いわゆるヤミ金融からの借入やクレジットカードの現金化等は該当する可能性がありますが、目的にもよります。

 (3)特定の債権者に対する債務について、その債権者に特別の利益を与える目的等により、本来義務に属さない債務の支払いを行なった場合(同条1項3号)

 →特に、申立代理人による受任通知後に特定の債権者への支払いを行なった場合、問題となる可能性があります。

 (4)浪費や賭博等により著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担した場合(同条1項4号)

 →浪費やギャンブルが直ちに免責不許可事由に該当するわけではありませんが、累積金額が高額になれば、該当する可能性が高いです。

 (5)破産申立1年前から破産手続開始決定までの間に、破産申立原因(債務の支払困難等)があるのに、詐術を用いて信用取引により財産を取得した場合(同条1項5号)

 →原則として積極的に支払能力に関し虚偽の告知を行なって相手方から金銭借入等の財産取得を行う必要があると解されますが、支払い能力がないことを黙って借入等を行なった場合でも、状況によっては該当する可能性があります。

 (6)業務及び財産状況に関する帳簿・書類等を隠滅・偽造・変造した場合(同条1項6号)

 (7)虚偽の債権者名簿提出(同条1項7号)

 (8)破産手続における裁判所の調査に対し、説明を拒み、又は虚偽の説明を行ったこと(同条1項8号)

 →破産手続の適正な進行を確保する趣旨の規定です。

 (9)破産管財人等に対する職務妨害(同条1項9号)、説明義務違反・調査協力義務違反等(同条1項11号)

 →破産手続の適正な進行を確保する趣旨の規定です。

 (10)過去の免責許可決定の確定や民事再生計画認可決定の確定等から7年以内の申立ての場合(同条1項10号)

 →無限定な免責許可を防止するための政策的な趣旨による規定です。

 

2. もっとも、免責不許可事由が存する場合であっても、直ちに免責不許可となるわけではなく、裁判所の裁量によって免責を許可することができるとされます(同条2項)。

 実務上は、不許可事由の内容が特に悪質・重大でない限り、裁量免責により許可される場合の方が多数のようです。

 

3. なお、東京地裁の場合には、免責不許可事由が存する場合には破産管財人による免責調査が必要となり、管財事件となります。

  個人管財事件の場合には最低20万円以上の予納金が必要とされているため、予納金の原資も確保する必要があります。

 

4.仮に、免責不許可事由が存する場合であっても、①不許可事由の内容、違反の重大性・悪質性の他、②遅くとも申立代理人委任段階以降は不許可事由に該当する行為は行なわないようにするとともに、③家計状況を見直して現在の収入でも家計が成り立つよう、今後の経済的更生に努めていく必要があります。また、④破産管財人から従前の経緯に関する説明を求められた場合には、きちんと説明していく必要があります。

  これらの事情も、裁量免責を検討するにあたり、一般的には考慮要素に当たるとされますので、破産手続開始申立を行う場合には、留意して対応を行なう必要があります。

  

 

 

 

 

 

コラムの内容は更新時のものであり、最新の情報と異なることがあります。

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