弁護士コラム

破産申立の際の法的注意点②(非免責債権、破産管財人による否認等)

[投稿日] 2017年07月29日 [最終更新日] 2017年07月29日
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小川 智史 神田須田町法律事務所

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 破産申立の際の法的注意点について、前回は免責不許可事由について整理しましたが、今回はそれ以外に、①非免責債権、②破産管財人による否認権行使、③法人代表者の場合について整理しておきたいと思います。詳細は下記の通りとなります。

 

1.非免責債権について

  破産手続開始申立及び免責許可申し立てに基づき、最終的に裁判所免責許可決定が確定した場合でも、あらゆる債権につき免責されるわけではなく、債権の性質上免責対象外とされるものがあります(非免責債権)。主な非免責債権としては、以下のような債権が挙げられます。

(1)租税等の請求権(破産法253条1項1号)

→所得税、住民税等の租税債務の他、国民健康保険料債務、国民年金保険料債務も該当します。

(2)破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権(同条1項2号)

→殺人・傷害・詐欺・横領等、重大な犯罪行為に基づいて生じた損害賠償請求権などが該当します。

(3)破産者が故意または重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(同条1項3号)

→悪質な暴走運転や飲酒運転による生じた事故に基づく損害賠償請求権等が該当すると解されます。

(4)子供の養育費、夫婦間の婚姻費用分担義務に関する債権(生活費等)、親族間の扶養義務に関する債権等(同条1項4号)

→相手方の生活保障という債権の性質上、非免責債権とされます。

(5)雇用契約に基づいて生じた使用人の請求権および使用人の預かり金の返還請求権(同条1項5号)

→主に個人事業主の破産を想定しているとされます。

(6)破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(同条1項6号)

→債権者に、破産者の免責の可否について意見を述べる機会を確保する趣旨とされます。そのため、当該債権者において破産手続開始決定を知っていた場合は適用されないとされます(同号カッコ書き)。

(7)罰金等の請求権(同条1項7号)

罰金等の原因となった破産者の行為に関し、制裁の実効性を確保する趣旨とされます。

 

 

2.破産管財人による否認権行使について

  破産申立に先立ち、破産者が財産の隠匿や損壊行為を行なった場合、免責不許可事由に該当すること(同法252条1項1号)は前回述べた通りですが、当該処分行為の効力自体について破産管財人により否定され、相手方に対して返還請求がなされる場合があります(破産管財人の否認権)。破産管財人の否認権についてはいくつか類型がありますが、特に問題となりやすい類型としては、以下の類型が挙げられます。

 

(1) 破産者による詐害行為がなされた場合(同法160条1項1号)

→債務の支払いが困難で実質的な破産状態(法的には「支払不能」といいますにあるにもかかわらず、他社への贈与を行なう等、いわゆる資産隠しにあたるような行為が典型例となります。また、特定の債権者への債務支払いにおいて、本来の債務額より過大な支払を行なった場合、超過部分について否認対象とされます(同項2号)。

 

(2) 不動産の売却等により、財産の隠匿、無償供与等により債権者を害する恐れを生じさせた場合(同法161条1項)

→不動産等の有形資産を金銭に換価した場合に処分が容易になるため、かかる規定が設けられています。ただし、現実に財産の隠匿等の恐れが生じさせたか否かは、事案ごとの判断となります。

 

(3) 実質的な破産状態(支払不能)であるにもかかわらず、特定の債権者に対してのみ債務の支払いを行なった場合(同法162条1項)

→この場合は、相手方である債権者が破産者の支払不能について知っている必要があります。申立代理人による受任通知後は基本的に控える必要がありますが、弁護士委任前でも状況によっては該当する場合があります。親族や知人等について、その関係性から特別扱いして支払いを行なうような行為は、差し控える必要があります。

 

(4) 破産管財人により否認権が行使され、相手方から返還された財産については、「破産財団」として破産管財人の管理下に置かれ、破産手続費用や債権者への配当の原資等に充てられることになります。

 

 

3.法人代表者の場合について

 法人代表者を務めている方の場合(過去に法人代表者を務めていた場合を含む)、原則として、個人だけでなく、代表者を務めている法人についても、併せて破産手続開始申立を行なう必要があります。

 ①代表者が破産した場合、会社に対する債務が免責されると、法人の債権債務関係を処理できなくなるおそれが高いこと、②代表者が法人の筆頭株主である場合が多いところ、法人の財産状況についても調査する必要があること(実際に財産がないのか否か調査してみないとわからないこと)、③代表者が破産した場合、取締役としての地位を喪失するため(会社法330条・民法663条2号)、会社の代表者が不在となってしまう事等が理由とされます。

コラムの内容は更新時のものであり、最新の情報と異なることがあります。

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