弁護士コラム

詐害行為取消権について①(保証会社等がある場合)

[投稿日] 2017年10月09日 [最終更新日] 2017年10月09日
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小川 智史 神田須田町法律事務所

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  多額の負債を抱えた債務者において、債権者からの財産差押等を逃れるために、その所有する資産を処分してしまう場合があります。

  こうした財産処分行為について、例えば形式的に不動産を知人名義に場合において、通謀虚偽表示と認められる場合には無効となりますが(民法94条1項)、通謀虚偽表示に当たる場合以外でも、一定の場合には債権者のための「詐害行為取消権」といって、債務者による処分行為を取り消して財産を保全する権利が認められています(民法424条1項)。以下、検討します。

 

1.詐害行為取消権のための要件及び消滅時効について

(1) 詐害行為取消権を行使するためには、以下の要件を満たす必要があります。また、詐害行為取消権の行使は、訴訟によって行う必要があります。

 ①被保全債権の存在

 ②債務者の無資力

 ③詐害行為(財産権を目的とする法律行為)の存在

 ④債務者の詐害意思

 ⑤受益者または転得者の悪意(詐害行為性の認識)

 

(2)詐害行為取消権については、債権者が取消原因を知った時から2年、又は行為の時から20年経過したときは、消滅時効が成立します(民法426条)。

 

(3) 詐害行為取消権の要件に関する問題点は多岐にわたりますが、今回は、①②の要件に関連し、下記のケースについて検討を行いたいと思います。

 

 

2.保証会社等が存する場合

 近年では、会社の事業資金の借入や住宅ローンについて、債権者である金融機関の保証会社が機関保証するケースや、特に事業資金の場合には信用保証協会が機関保証するケースが多いと思われます(以下、「保証会社等」といいます)。

 こうした保証会社等による機関保証がなされた場合において、債務者の滞納により保証会社等が代位弁済すると保証会社等は主債務者や他の保証人(以下、「債務者等」といいます)に対する求償権が発生しますが(通常、保証会社等の保証委託契約書において、債務者等に全額求償できる旨の規定が存すると思われます)、代位弁済前に債務者等によリおこなわれた財産処分行為を取消する場合、以下の点が問題となると思われます。

 

(1)被保全債権の発生時期との関係

 上記①の要件である「被保全債権の存在」については、詐害行為がなされた時点で存在することが必要とされます。そうすると、保証会社等が代位弁済する以前の段階では、債務者等に対する求償権が発生しておらず、①の要件をみたしていないのではないか、が問題となります。

 この問題に関しては、諸説ありますが、一般的には、求償権については原債権(元々の債権)が移転していると解されるため、代位弁済前に行なわれた財産処分行為についても、被保全債権の存在は認められると解されているようです。

 なお、本年5月26日成立・6月2日公布の民法改正法案では、被保全債権が処分行為よりも以前の原因に基づいて発生していれば被保全債権の存在が認められるとされ、保証会社等の代位弁済前の処分行為であっても、詐害行為取消権行使の妨げとならない旨条文上明記されています。

 

(2)債務者等の無資力について

ア 被保全債権の発生自体は認められるとしても、債務者による詐害行為を取り消すためには、行為の時点と取消時点(厳密には、取消訴訟の事実審の口頭弁論終結時)まで債務者が無資力状態である必要があります。無資力の判断要素として、一般的には、債務者による滞納の有無等が目安となるとされます。

 なお、債務者に他の保証人が存在する場合であっても、債務者自身が無資力であれば、他の保証人の存在は詐害行為取消権行使の妨げとならないと解されています。

イ また、(連帯)保証人による財産処分行為を取り消す場合には、(連帯)保証人について、処分行為の時点から取消時点まで無資力であることが必要となります。ただ、主債務者が無資力とは言えない、あるいは(連帯)保証人が主債務者の無資力について認識していない場合は、上記④(連帯)保証人の詐害意思が否定される可能性があります。会社の事業資金借り入れに関する役員の連帯保証等の場合に特に問題となります。

 

(3) 詐害行為にあたる典型例としては、財産の贈与が挙げられますが、詳細につきましては、また別の機会に検討を行いたいと思います。

 

 

3.まとめ

 詐害行為取消権の行使に当たっては、上記①~⑤の要件をすべて満たす必要があり、一般論としては簡単に行使できるわけではありません。

 ただ、これらの要件が満たされ、資産回収の実効性があると見込まれる場合には、保証会社等が詐害行為取消訴訟を行なってくる場合があります。

 債務超過状態において資産を処分する場合には、債権者による詐害行為取消権行使の可能性に注意する必要があります。

  

コラムの内容は更新時のものであり、最新の情報と異なることがあります。

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