弁護士コラム

強制執行について(3)

[投稿日] 2018年03月07日 [最終更新日] 2018年03月07日
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小川 智史 弁護士 神田須田町法律事務所

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 本年2月25日付「強制執行について(1)」、3月1日付「強制執行について(2)」に引き続き、今回は給与債権等に対する債権執行について検討を行ないたいと思います。

 

5.給与債権の差押について

(1)通常の場合

 給与債権については、債務者の生活基盤を形成する資産であることから、差押可能額に制限があり、①原則として税金や社会保険料等を控除した手取り額までの1/4までですが、②手取り額が44万円を超える場合は、手取り額から1か月分の必要生計費相当額として33万円を控除した金額とされます(民事執行法152条1項)。

 なお、給与債権の振込先口座となっている預金債権については、原則として全額差押自体は可能ですが、実質的に給与から生活費等を差し引いた残高が残っているにすぎない場合、債務者から不服申立がなされて差押が取り消される可能性があります。

 

(2)養育費等に関する債権を請求債権とする場合

 養育費やこれと同様の債権(以下、「養育費等」といいます)を請求債権とする場合、元々債務者の生活費の一部であるとともに、債権回収の実効性を確保するため、当該請求債権について債務者の不払いが生じている場合は、①期限が到来していない将来の養育費等の差押が可能であるとともに(民事執行法151条の2第1項)、②給与の手取り額の1/2まで差押可能とされます(同法152条3項)。ただし、③差押後に期限が到来する給与債権に限られます(同法152条の2第2項)。

 もっとも、将来の給与債権を差し押さえたとしても、債務者が第三債務者である勤務先を退職した場合には給与債権自体が消滅する可能性については留意する必要があります。

 

6.年金請求権・生活保護受給請求権等について

(1) 年金請求権や生活保護受給請求権、その他これらと同様の性質を有する債権については、その性質上、差押が禁止されています(国民年金法24条本文、厚生年金保険法41条本文、生活保護法58条等)。

 

(2)年金や生活保護費等が入金された預金債権の差押については、給与債権差押の場合と同様の問題が生じます。

 この点に関し、児童扶養手当請求権も差押禁止債権にあたるところ、鹿児島県垂水市が、昨年8月に、国民健康保険税を滞納した住民に対し、児童扶養手当が入金された預金債権を差し押さえたとの報道が3月3日にありました。しかし、租税公課の滞納であっても、行政機関が児童扶養手当が入金された預金債権を差し押さえることは違法であるとした高裁判例(広島高裁松江支部平成25年11月27日判決)があります。

小川 智史 弁護士

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