弁護士コラム

日産ゴーン会長の逮捕について(2)

[投稿日] 2018年11月23日 [最終更新日] 2018年11月29日
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小川 智史 弁護士 神田須田町法律事務所

依頼者のために最善を尽くしていきます

 前回に引き続き、今回は有価証券報告書虚偽記載等があったと仮定した場合の取締役の責任について、以下検討を行います。ただし、あくまで仮定の問題である点にご留意頂く必要があります。

 

1.虚偽の有価証券報告書を前提に株式を取得した株主に対する賠償責任について

(1)有価証券報告書の虚偽記載がなされた場合、虚偽記載を行なった会社の取締役や監査役の役員等は、当該記載が虚偽であることを知らないで 有価証券を取得した者に対し、虚偽記載により生じた損害を賠償する責任を負います(金融商品取引法24条の4、22条1項、21条1項1号・3号)。

(2)損害の発生及び虚偽記載との因果関係は、賠償請求者(株主)が立証責任を負いますが、役員等が責任を免れるためには、「記載が虚偽でありまたは欠けていることを知らず、かつ、相当な注意を用いたにもかかわらず知ることができなかったこと」を立証する必要があります(同法24条の4、22条2項、21条2項1号・3号)。

(3)①虚偽記載に関与した役員等は免責は困難と思われますが、②関与していない役員についても、代表取締役の行為についての監視義務があるとされる点や、有価証券報告書が不特定多数に公開されている点に照らすと、一般的には無過失の立証による免責は容易でないと思われます。

 

2.取締役等の会社に対する賠償責任について

(1)金融商品取引法違反(の場合)については取締役が遵守すべき法令違反として会社に対する債務不履行責任を負うとともに、実施した取締役以外の役員等についても、善管注意義務違反として会社に対する債務不履行責任が発生する可能性があります。

(2)ただし、会社に対する責任については、故意または重過失がない場合、①代表取締役については報酬の6年分、②他の取締役については報酬の4年分に責任を限定する契約が可能であり(会社法427条、425条)、日産の2017年度有価証券報告書によれば、業務執行取締役等を除く取締役3名及び監査役4名との間で、責任限定契約を締結しているとされます。

(3)また、有価証券報告書虚偽記載の他に、仮に取締役が利益相反取引に該当する不正な自己取引を行なっていた場合、責任限定契約の対象外であるとともに、総株主の同意がない限り免責されないとされます(会社法428条、424条)。

(4)役員等の会社に対する責任について、上場会社の場合、6か月前から引き続き株式を有する株主が会社に請求を行なってから60日以内に、会社が対象取締役等に責任追及等の訴えを提起しない場合は、株主代表訴訟を提起できるとされます(会社法847条1項、3項)。

 

3.上記の他、商事的な会社のガバナンスの問題もありますが、別途コラムを分けて検討を行いたいと思います。

小川 智史 弁護士

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