弁護士コラム

業績悪化による転勤・退職勧奨・整理解雇・採用内定取消

[投稿日] 2017年04月28日 [最終更新日] 2017年05月02日
会社の業績が悪化し、職場で「不採算部門のリストラを進めなければならず、他の県の違う部署に異動してくれないか」と言われたものの、自分の全く経験したことのない職種で、家庭環境から転勤も難しく、意に沿わない異動だとしたら、どうしたらよいのでしょうか。
その場合、まず自分と会社の労働契約を見直してください。他の仕事はしない専門職として入社したのか、転勤を前提としていない現地採用なのか、などです。そもそも会社は、契約と違うことは命令できません。
労働契約では異動があり得るとしても、内示を受けた段階で、会社側に異動の理由、業務上の必要性、なぜ自分が選ばれたのかを問いただしましょう。
どんな異動であっても、職場環境や人間関係が変わるのですから、労働者にとってストレスの要因になることは間違いありません。会社の説明で納得いかないのなら、異動による不利益が生じると、多くの人が納得できる客観的な材料をそろえて言ってみることです。労働契約法は仕事と生活との調和を配慮するように会社に求めています。特に介護や子育てについては育児・介護休業法が会社に労働者の状況を配慮するよう求めているので、自分の健康や家族の問題点を言い、他の人に代わってもらうか、会社に転勤した際の必要な配慮を求めることが考えられます。
退職へ追い込んでいこうという「いじめ」的な異動もあり、裁判所が権利濫用と認めるケースがあります。
正式な異動辞令は業務命令なので、従わないと会社側から懲戒解雇されることもあります。いったん従った上で、納得できないと法的に訴えるのも一つの手です。
また、会社が業績不振に陥り、職場の上司から「辞めてくれないか」と言われたが、すぐに辞めないといけないのでしょうか。
会社を代表していない上司がぽろっと言った程度ではクビになりません。会社組織の決定がされ、辞令が交付されるのでなければ、解雇されません。慌てないで、退職勧奨なのか、解雇なのかを慎重に見極めた方がよいです。退職勧奨であれば、これに応じる義務はありません。納得できなければ、上司の言ったことでもきっぱりと断りましょう。一時帰休で回復の見込みがあるなら、使用者を説得すべきです。
希望退職を募るのも、正式な会社の決定を経て行われることです。よい条件でないなら、応募する義務はありません。
さらに、事業は継続するものの一部を閉鎖したり、事業を縮小したりする場合に解雇が行われる場合があります。これを「整理解雇」といいます。そのような場合でも労働契約法が適用され、解雇するには合理的な理由が必要です。会社側の都合だけで一方的に社員を解雇することは制限されています。
整理解雇をするなら、①人員削減の必要性、②解雇を回避するための努力、③解雇対象者の合理的な選び方、④事前の説明・協議の4つの要件をクリアしなければなりません。これらが満たされていなければ、一般的にその整理解雇は無効になると考えられています。解雇の前に労使で話し合い、可能な限り雇用の確保を目指すべきです。
ところで、業績が悪化して新規採用の内定者の入社予定日を後にずらされたというような場合にも、6割以上の休業手当を支払ってもらうことができます。採用内定でも雇用契約は成立しているので、業績悪化を理由とする内定の取り消しも解雇にあたります。合理的な理由がなければ無効となりますので、学生であっても、きちんとした説明や対応を会社に求めましょう。
労働契約は、住まいを借りるのと同じ契約の一種で重要なものです。労務を提供する社員と、賃金を支払う会社は契約上対等で、会社側の都合だけで一方的に社員を解雇することは制限されています。日本では雇用契約についての認識がまだ薄いのですが、会社側、働く側ともに契約の重みを強く感じるべきです。
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佐久間 大輔 弁護士

取扱分野
労働 不動産・建築 企業法務

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