弁護士コラム

掛け持ち勤務の労災

[投稿日] 2018年02月26日 [最終更新日] 2018年02月26日
収入不足を補うために、2つ以上の仕事を掛け持ちで働く人が増えています。
まず通勤途中で災害に遭ってケガなどをした場合、A社とB社の2か所で働いているとき、通勤の経路は①自宅からA社への出勤中、②A社からB社に移動する途中、③B社から自宅への帰宅中という3つに分けられます。
①と③は以前から通勤災害と認められていました。②は労災保険法で定める通勤の概念に、「就業の場所から他の就業の場所への移動」が加えられ、2006年4月から労災保険給付の対象になりました。
労災保険給付は、過去3か月間の賃金を平均した「給付基礎日額」に基づいて支給されます。算定のもとになる賃金は、①の場合はA社、③の場合はB社です。②については、③と同じくB社の賃金をもとに計算されます。B社で働くために必要な移動であるからです。
A社やB社での勤務中に起きた災害は、業務上の災害として労災保険給付が支給されます。この場合も給付額の算定のもとになるのは、実際に災害が起きた会社の賃金です。ケガをすると、すべての仕事を休まざるを得ないこともあり、賃金も合算して給付額が算定されるべきところですが、それは認められていません。
では、過労死の場合は、労働時間の算定をどうように考えるのでしょうか。
2つの出版社で働いていた女性が自殺したケースで、労働基準監督署では労働時間の合算が認められなかったのですが、労災保険審査官は両社の労働時間を合わせて「相当程度の長時間労働があった」との判断を示しました。加えて、上司の長時間にわたる叱責などが複合的に精神への影響を与えたとして、過労自殺と認定する決定を出しました。
ただ、遺族補償給付については、一方の出版社の賃金だけに基づいて算定されました。
つまこい法律事務所 〒101-0021 東京都千代田区外神田6-16-9 ICOPビル7階 平日9:00-18:30
Resized avatar avatar lawyerprofile 25501 1480468117

佐久間 大輔 弁護士

取扱分野
労働 企業法務 不動産・建築

コラムの内容は更新時のものであり、最新の情報と異なることがあります。