弁護士コラム

通勤経路上にある飲み屋に向かう途中の事故

[投稿日] 2018年02月26日 [最終更新日] 2018年02月26日
往復の経路を逸脱または中断した場合は、その間およびその後の往復は通勤と認められません。
寄り道をしても、逸脱・中断に当たらないとされている例は、経路の近くにある公衆便所を使用する場合、帰途に経路の近くにある公園で短時間休息する場合、経路上の店でタバコ、雑誌等を購入する場合、駅構内でジュースの立飲みをする場合、経路上の店で渇をいやすため極く短時間お茶等を飲む場合などです。
逆に逸脱・中断に当たる例は、通勤途中で麻雀を行う場合、映画館に入る場合、バーで飲酒をする場合、デートのため長時間にわたって話し込んだ場合、帰宅途中に経路上の喫茶店に立ち寄ってコーヒーを飲みながら40分程度過ごした場合、日用品購入やウィンドウショッピング等を約100分程度行った場合などです。
終業後、同僚数人で飲み会を行う場合、居酒屋に立ち寄った時点で逸脱・中断に当たります。しかし、まだ店に向かう途中の通勤経路で被災した場合は、その目的が帰宅ではないので、飲み屋に行くことを目的とした時点で逸脱・中断に当たるのでしょうか、または就業関連性が否定されるのでしょうか。
通勤災害の認定要件には、目的という主観的要件はありません。各要件も諸般の事情を総合考慮しながら客観的に判断されなければなりません。通勤途上では、どこかで食事をする、買い物をするなどと考えることもありますし、いったん寄り道をすることを決意しても、後で翻意してそのまま帰宅することもあります。寄り道を想起すれば通勤災害が認められなくなるというのは、政府管掌の保険をもって(保険料を企業が負担しているという意味で企業社会全体で)、被災者の補償をするという通勤災害制度の趣旨を没却することになりますし、社会的な公平に適うとはいえないでしょう。
同僚数人で居酒屋に向かう途中、そのうち1人が猛スピードで走ってきた自転車と衝突して左足を骨折した場合、当該社員の向かう店がたまたま通勤経路上にあるのであれば、飲み会への参加を取りやめてそのまま帰宅する可能性があったのですし、寄り道が現実化していないのであれば、会社からの通勤経路上で起きた事故は通災として補償されるべきです。
  とはいえ、通勤災害の判断はケース・バイ・ケースとなり、判断が難しいので、ご相談ください。
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佐久間 大輔 弁護士

取扱分野
労働 企業法務 不動産・建築

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