弁護士コラム

経営者の離婚1

[投稿日] 2019年10月16日 [最終更新日] 2019年10月16日
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小澤 亜季子 弁護士 センチュリー法律事務所

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<ご相談内容>

私は妻と死別した後も、一人で子供を育てながら、自分の会社を大きくしてきました。子供も成人し、仕事も落ち着いたことあり、再婚を考えよう

と思います。婚姻の際に注意すべきことはありますか?

 

<弁護士の回答>

 

~本件のポイント~

1 相続発生時に、子どもと後妻との間で争いが生じる可能性があります。

2 夫婦財産契約(婚前契約)の活用を検討しましょう。

 

 

 ご相談者様のように、相当の財産を有する熟年の方で、且つ前妻との間の子がいる方が再婚する場合、その方の死亡後、相続をめぐって子と後妻が争う可能性があります。

 

 このようなご相談者様が、事前に特段の取り決めなく再婚をした場合、どうなるのでしょうか。以下、お子さんは1人と仮定して、ご説明いたします。

 

①遺言を作成せず、法定相続分通りに遺産分割を行う場合

 もしご相談者様が再婚をしなければ、子の相続分は100%です(民法887条1項)。ところが、ご相談者様が再婚をすると、子と後妻の相続分は50%ずつになります(民法890条)。つまり、子からしてみると、再婚により自分の相続分が減少してしまうのです。これを恐れて、子が再婚に反対するということも考えられます。子に反対されたからといって、法律的に再婚できないわけではありませんが、今後の子と後妻の関係性を思うと非常に悩ましい問題です。

 また、ご相談者様はご自身で会社を経営されているとのことですが、仮にご相談者様の財産に、会社の株式や事業用の不動産等が含まれているとなると、さらに問題は深刻です。再婚した場合、法定相続分は子と後妻で50%ずつになりますので、会社経営をめぐって争いの火種が生じる恐れがあります。

 

②再婚前に成した財産は100%子に相続する旨の遺言を作成した場合

では、上記①のような恐れを払しょくするべく、例えば「再婚前に成した財産は100%子に相続する」旨の遺言書を作成した場合には、どうなるでしょうか。

上記のような遺言書を作成したとしても、後妻の遺留分が問題となります(民法1042条)。遺留分制度とは、亡くなった方が有していた相続財産について、その一定割合の承継を一定の法定相続人に保証する制度です。ご相談者様のケースでは、後妻には4分の1の遺留分が認められますので、後妻は、遺留分侵害額請求権を行使して、子に対し遺留分侵害額に相当する金銭を請求することができます。つまり、生前に遺言書を作成していても、ご相談者様の死亡後、後妻がご相談者様の生前の意思に反して遺留分侵害額請求権を行使してしまうと、再婚前に成した財産の100%が子に相続されなくなる可能性があるのです。

 

 上記1のような争いを避けるためには、どうすればよいでしょうか。解決方法の1つとして、再婚前に「夫婦財産契約(婚前契約)」を締結し、登記を経ておくことが考えられます。

民法上、これから結婚をしようとする男女は、婚姻届出前に、その財産について、夫婦財産契約を締結することができます(民法755条)。この夫婦財産契約の中に、相続に関する事項を記載することで、婚姻への障害の排除や将来の相続紛争の防止につき、一定の効果が期待できます(注1)。

但し、夫婦財産契約の締結には、注意点が2つあります。

①結婚「前」に締結しないといけない。

 夫婦間で契約をした場合、その契約は、婚姻中、何時でも、夫婦の一方から取り消すことができます(民法754条)。したがって、夫婦財産契約は、結婚前に締結しないといけません。

②登記を経ないといけない。

 民法に定める法定財産制と異なる夫婦財産契約を締結したときは、婚姻届出までにその登記をしなければ、第三者にその内容を主張することができません(民法756条)。

 

ご相談者様の場合は、例えば、再婚前に、概要以下のような夫婦財産契約を締結し、登記をすることで、将来の家族間の紛争を予防することが期待できます(参考:東京法務局第58号・昭和62年10月28日登記)

・再婚前の財産を、夫婦それぞれの特有財産として個別に明記する。

・上記特有財産は、夫婦それぞれの子に相続させるとの合意を明らかにする。

・再婚後速やかに各々遺留分放棄の手続きを家庭裁判所に行い、またそれぞれの特有財産をそれぞれの子に相続させる旨の遺言書を作成する旨定める。

 

また、ご相談者様の財産に、ご自身の経営する会社の株式や事業用不動産が含まれる場合は、事業承継対策を検討することも考えられます。

 

(注1) 我が国の民法では生前に自らの財産の承継人を指定するのは、遺言によるとして、相続契約は認められないとするのが通説と言われている。このため、夫婦財産契約において相続人や相続分、遺産分割の指定などを定めても、法律による強制力を伴うものではないことに留意する必要があるが、当事者間では婚姻への障害の排除や将来の相続紛争の防止につき、夫婦財産契約にこれら条項を記載することで、一定の効果が期待できる場面である(山田俊一『夫婦財産契約の理論と実務』98頁(ぎょうせい、初版、2012年)。

小澤 亜季子 弁護士

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労働 借金・債務整理 離婚・男女
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