弁護士コラム

交通事故による後遺障害で車椅子での生活となった場合,家屋改造費はどこまで賠償として認められますか?

[投稿日] 2018年02月26日 [最終更新日] 2018年02月26日

四肢麻痺や両下肢麻痺などの重度後遺障害事案では、被害者の家屋改造費用が問題となることがあります。

 

一言で「改造」と言っても、手すりを設置する程度の簡易なものから、エレベーター設置、はたまた新築建て替えまで、いろいろな内容のものがあり、金額もそれに応じてさまざまです。

 

法律上は、他の損害費目と同じく「その損害が当該事故と相当因果関係が認められる範囲か」の判断になりますが、改造費特有の注意点としては例えば以下のようなものがあります。

 

1  まだ施設入所中で、工事が行われていない場合

 

 まだ施設に入所中で工事が行われていあい場合には、「本当に将来的に在宅介護が現実的なのか?(在宅介護の蓋然性)」が問題になります。

 具体的な考慮要素としては、

•自宅介護についての医師の判断内容

•施設での介護状況、退所時期の見通し

•本人や家族の意向、準備状況

などのさまざまな事情から判断がされることになります。

 

裁判例としては、

 

入所中の施設に在宅介護の申出をしていないこと、自賠責保険金を受け取ったあとも改造に着手していないこと、被害者の身体的状況や家庭状況などから、在宅介護の蓋然性は極めて低いとして、自宅改造費の請求を認めなかった事例

(東京高裁平成17年8月9日判決)

 

などがあります。

 

2  家族も便益を享受する場合や家屋の価値が上がることをどう調整するか

 

 家屋改造をした場合、厳密に被害者本人だけが使うものばかりとは限りません。

 例えば、車椅子でも通れるよう段差をなくすついでに、もともと痛んでいた床を張り替えるような場合や、廊下が広くなって他の家族にとっても利便性が高くなるような場合や、事故前より家屋の資産的価値が上がる場合もあります。

 そのような場合には、「損益相殺」(簡単にいえば、損害をこえて利益を得た部分は請求できないというものです)の考え方により、一定割合で減額されることになります。

 

裁判例としては、

自宅改築費用のうち、材質や仕様等を考慮して工事見積額の8割とし、さらに家族の便益や家屋の価値が向上することからさらに2割を減額して認定した事案

(大阪地裁平成21年1月28日判決)

 

などがあります。

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新田 真之介 弁護士

取扱分野
交通事故

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