弁護士コラム

給与所得者の休業損害はどのように算定されますか?

[投稿日] 2018年03月08日 [最終更新日] 2018年03月08日

今回は、会社員など、給与所得者が交通事故で怪我、入通院をして給与が減った場合についてご説明します。

 

1 給与所得者の休業損害の考え方

 

前回ご説明した通り、

休業損害は、事故がなければ働いて得られたはずの収入との差額で考えますから、

日額は原則として事故前3カ月間の給与を90日で割って計算できます。

 

これについては通常、勤務先から「休業損害証明書」を発行してもらいます。休業損害証明書の書式には、事故前3カ月間の給与と、事故後の休業した日、休業した日についての給与の支払いの有無などを記載する欄があります。

 

なお、「事故前3カ月間には土日などの休みの日も含んでいるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、この計算方法を使う場合には事故後の休業期間をかけるので、その点を考える必要はありません。

 

逆に、事故前3カ月間のうち稼働日数で割る場合には、事故後の休業日数についても、「もともとの休日(もし事故がなくても休みだった日)」を除いて考える必要があります。



 

2  有給休暇を使って給与が減らなかった場合

 

 事故による怪我で休業したものの、有給休暇を使ったために給与は減らなかったという場合にも、事故がなければレジャーや趣味など他の目的に有給休暇を使うことができたと考えられますから、休業損害として請求できると考えられています。

 

ただし、事故後の有給休暇が必ず全て休業損害といえるかは、やはり怪我の内容、経過と仕事内容を個別に検討するしかありません。

例えば、すでに平日は仕事をしていて仕事帰りに通院していたのに、たまたま年末年始や祝日をつなげるように有給休暇をとるなど、単なる「有給消化」としか言えない場合などです。

これはそもそもの発生要件のうちの「休業の必要性」の問題になります。

これについては前回のコラムをご参照ください。

休業損害とはどのように算定されますか?(基礎編) 2018年03月02日

https://legalus.jp/tokyo/23ku/chuoku/lo_11942/lawyer_49313/column/la-3467

 

3 症状固定前に退職してしまったらどうなる?

 

事故後に症状固定前に退職した場合には,まずは退職と事故との相当因果関係があるかを考えます。

 

事故と無関係の事情で退職していたような場合には,相当因果関係が認められませんから,その場合には退職以降の休業損害は原則認められません(東京地裁平成21年8月25日判決など)。

 

一方,その退職が本件事故による傷病が原因で仕事を続けるのが困難になったと認める事情があるような場合は,相当因果関係があると認められる可能性が高いので,そのような場合には退職前の収入をもとに算定をします。

 

期間については,退職後,症状固定までの間に再就職がどの程度可能であったと考えられるかどうかについて検討し,休業期間や割合について検討することになります。これも具体的な事情(傷病の内容や回復の度合,仕事の内容など)を個別にみていくことになります。

 

裁判例としては,

 
30歳・看護師が交通事故により頸椎捻挫の傷害を負ったが,8か月後の症状固定より前(事故から約5か月後)に退職をしたという事案において,傷病の治療経過や回復状況を検討した上で,
① 最初の88日間は100%
② その後の81日は60%
③ その後の74日は30%
と段階的に休業割合を認定した事例(東京地裁平成23年7月14日判決)

などがあります。 

 

 

新田・天野法律事務所 〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町1-12-6 KSビル6階
Resized avatar mini magick20171121 20539 dh0emu

新田 真之介 弁護士

取扱分野
交通事故

コラムの内容は更新時のものであり、最新の情報と異なることがあります。

ページ
トップへ