弁護士コラム

「交通事故で、愛車が壊れて大変でした。幸い怪我はしていませんが、相手に慰謝料は請求できないのですか?」

[投稿日] 2018年03月23日 [最終更新日] 2018年03月23日

弁護士の新田真之介です。交通事故の損害賠償についてコラムを書いています。いつも読んでいただいている皆さまに感謝申し上げます。

さて、今回から物的損害(物損)に関するテーマです。

今回のタイトルのような質問も法律相談などよく聞かれることがあります。

 

慰謝料」と聞くともしかすると日常用語では「迷惑料」「わび料」位の意味だと思われているかもしれませんが、法律上は何らかの精神的苦痛があればどんな場合でも慰謝料が認められるわけではありません。

 

1    物的損害に対する慰謝料は原則認められない

車両などの物的損害のみの場合、慰謝料は原則認められません。

 

なぜなら、財産権のみが侵害されている場合には、その財産的損害について適正な損害賠償がなされたならばそれに伴う精神的な損害も一緒に回復されたと考えられているからです。

 

よって、物損事故による慰謝料請求については裁判例も極めて例外的な場合しか認めていません。

 

2「極めて例外的な場合」には、どのようなものがあるか?

 

物的損害について慰謝料を請求できるケースには、被害者の特別な愛情や精神的平穏を強く害するような特段の事情が立証されることが必要と考えられています(東京地裁平成3元年3月24日判決・交民22巻2号420頁)。

ここで注意が必要なのは、持ち主が主観的に(内心で)特別な愛情を持っていたと言い張るだけでは足りず、それを第三者が認めるに足りるような立証が必要だということです。

裁判例の中で認められた例としては、例えば以下のようなものがあります。

 

・霊園内で墓跡に衝突、倒壊し骨壷が露出するなどした事例で、慰謝料10万円が認めたもの(大阪地方裁判所平成12年12月10日判決・自保ジャーナル1406号4頁)

 

・居住家屋に就寝中、大型貨物自動車が飛び込み、家屋が損壊した事例で、慰謝料50万円を認めた事例(岡山地方裁判所平成8年9月19日判決・交民29巻5号1405頁)

 

後者の判例は、まかり間違えば命に関わる危険があったことや、壁が修繕されても1回で安心して眠ることができないなどの事情(住居の平穏)が考慮されたことが想像されます。

 

逆に言えば、単に車が壊れたなどというだけでは、慰謝料は請求できないケースが多いと言えます。

新田・天野法律事務所 〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町1-12-6 KSビル6階
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新田 真之介 弁護士

取扱分野
交通事故

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