マネキンフラッシュモブ禁止取消し,何が問題?

海老名駅の自由通路で市民団体が行った「マネキンフラッシュモブ」と呼ばれる表現活動に対し,海老名市が発令した市条例に基づく禁止命令は表現の自由を過剰に規制するもので違憲として,メンバーらが市を相手取り命令の取り消しを求めた訴訟の判決で,横浜地方裁判所(大久保正道裁判長)は平成29年3月8日,「命令は違法」として原告側の訴えを認めました。
 
■「条例の解釈適用を誤った」
 
判決によりますと,市民団体のメンバーらは昨年2月,「アベ政治を許さない」などのプラカードを掲げながらマネキンに扮して静止するパフォーマンスを自由通路上で実施したそうです。市はこうした行為を市海老名駅自由通路設置条例で禁じた集会やデモに該当すると判断し,同3月に参加者の1人だった市議会議員に対して禁止命令を出しました。
 
大久保裁判長は判決理由で,一連のパフォーマンスの時間や規模から,「多数の歩行者の安全で快適な往来に著しい支障を及ぼすとまでは認められない」と指摘しました。条例で規定された禁止行為に該当しないと認定したうえで,市の命令を「条例の解釈適用を誤った違法なもの」と判断しました。
 
市議会議員を除くメンバーが請求した今後の禁止命令の差止めに関しては,市側が訴訟で命令を出す予定がないと明らかにしたことから却下しました。
 

■条例の改廃の議論が高まるか?
 
上記判決は条例の違憲性や適用の違憲性までは判断していませんが,海老名市の禁止命令を違法とした判断は,市条例の恣意的運用に歯止めをかけ,政治的権力の濫用に警鐘を鳴らすものとして重要な意味をもつといえます。表現行為の規制は必要最小限度の極めて限定的なものでなければならないという日本国憲法上の大原則を再確認したともいえます。
 
上記判決は,マネキンに扮したパフォーマンスを市条例が禁じた「集会,デモ,座り込み」に当たるとした市の判断が誤りであったと判断しました。当該パフォーマンスは「相当時間にわたり相当部分占拠する様態ではない」「安全で快適な往来に著しい支障をきたすおそれが強い行為とまで認められない」ため,規制され得るものとはいえず,表現の自由を尊重した判断といえます。規制され得る行為か否かの判断に「相当時間にわたり相当部分占拠する様態」といった限定的な基準を示している点も評価できます。
 
道路交通法第77条第1項第4号の解釈をめぐって,駅前のビラまきは許可不要とした東京高判昭和41年2月28日を踏襲した判断ともいえ,市条例の運用に当たっては道路交通法を上回る規制は許されないことを示した格好です。市条例によるデモの禁止条項は不要かどうかについては議論のあるところですが,濫用の具体例の一つとして当該パフォーマンスが認定された以上,改廃の議論も高まる可能性があります。


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