弁護士コラム

相続の預金の扱いが変わる?

[投稿日] 2016年12月04日 [最終更新日] 2016年12月04日
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小川 智史 弁護士 小川智史法律事務所

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 相続が発生した場合の主な相続財産として、通常は不動産や預金を想定されるのではないかと思います。

 実は、預金の取り扱いについて、最高裁の判例が変更される可能性がありますので、以下詳しくご説明します。

 

1.従来の判例の判断

 預金債権について、相続財産として遺産分割の対象となるようにも思えますが、従来の最高裁判例では、預金債権は可分債権であり、相続発生と同時に法定相続人間で法定相続分に応じて当然分割され、遺産分割の対象とならないとされています(最高裁昭和29年4月8日判決)。

 そのため、現在の家裁実務では、預金債権のみを対象として遺産分割調停申し立てを行なうことはできません。もっとも、実際の調停では預金債権を含めて協議を行なう例がおおいですが。

 なお、金融機関の取引実務では、預金者の死亡により口座を凍結し、通常相続人に対しては遺言書や遺産分割協議書等の提出を求めることが多いです。ただ、従来の判例によれば法的には各相続人に払戻請求権が存する以上、相続人が金融機関に対し払戻請求訴訟を提起すれば、原則として払戻を認める判決が出され、金融機関はこれに応じる必要があります。

 

2.最高裁判例変更の可能性

 ところが、遺産分割時の預金債権の扱いが問題となった事案で、最高裁は大法廷に審理を回付し、今年の10月に口頭弁論期日が開かれました。従来の判例と同様の判断を行なうのであれば、大法廷に回付する必要も口頭弁論期日を開く必要もないため、従来の最高裁判例の変更が予想されています。早ければ年内にも、新たな最高裁の判断にが出されるのではないかと予想されています。

 従来の最高裁判例が変更される場合、その具体的理由については、新たな最高裁の判断内容を見てみないと、現時点ではわかりません。ただ、特定の相続人に対し生前に被相続人から多額の贈与がなされていた場合には特別受益として相続時に精算が必要となるところ(民法903条)、当該事案において多額の生前贈与が合ったところ、預金債権を当然分割としてしまうと、事実上特別受益の精算が困難になるという点が問題とされているようです。

 

3.現在遺産分割協議中の事案はどう対処すべきか

 上記の通り最高裁の判例が変更される可能性があるため、預金債権の扱いが問題となる事案については、下記に述べる点からしても、よほどお急ぎの事情がない限り、最高裁の新たな判断が出るまで待った方がよいでしょう。

 関連する問題として、既に成立した遺産分割内容に影響を及ぼすか否か、についても、最高裁の判断内容によります。

 ただ、類似の問題として、婚外子の相続分を他の子の1/2と定める民法900条4号但書について、最高裁は法の下の平等を定める憲法14条1項に違反するとして、従来合憲とした判例を変更したところ(最高裁平成25年9月4日大法廷決定)、当該決定前に確定済みの遺産分割の効力には影響を及ぼさないとしています。具体的理由としては、当該判例の前は従来の判例に基づいて遺産分割がなされており、紛争の蒸し返しによる社会的混乱を防止する点にあるようです。預金債権に関する判例変更の場合も、同様の判断がなされる可能性があります。

 

小川 智史 弁護士

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