弁護士コラム

民法(債権法)改正における経過措置について(2)

[投稿日] 2018年08月31日 [最終更新日] 2018年08月31日
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小川 智史 弁護士 小川智史法律事務所

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前回に引き続き、2020年4月1日施行予定の民法(債権法)改正における主な経過措置に関して、今回は以下の点について整理しておきたいと思います。

 

1.法定利率に関する経過措置について

  現行法では、利息や遅延損害金に関する民事法定利率は年利5%と定められていますが、昨今の低金利情勢を踏まえ、改正法ではまず年利3%とした上で(改正法404条2項)、3年ごとに市場金利等を考慮して見直しを行なっていくとされます(同条3~5項)。

 法定利率に関する改正法の適用に関して、①利息債権に関しては、施行日前に利息が生じた場合には、その利息を生ずべき元本債権については現行法が適用されます(改正法附則15条1項)。

 また、②遅延損害金債権については、遅滞の責任を負った時が基準となり、改正法施行日前に遅滞の責任が発生した場合には、改正法施行日前に発生しする遅延損害金債権については現行法が適用されます(同附則17条3項)。

 上記の他、③中間利息の控除を行なうべき債権(例:交通事故における後遺障害逸失利益の一括払の場合等)についても法定利率が適用されますが(改正法417条の2)、改正法施行日前に中間利息控除対象となる損害賠償請求権が発生した場合には、現行法が適用されるとされます(同附則17条2項)。

 

2.債務不履行責任に関する経過措置について

 現行法では、売買等の契約の目的物に瑕疵(欠陥)があった場合に瑕疵担保責任が定められ、債務不履行責任とは別個の法定責任と解するのが通説ですが、改正法では債務不履行責任に一本化し、目的物の種類、品質又は数量が契約の内容に適合しない場合の責任(契約不適合責任)を定めています(改正法562条以下)。

 契約不適合責任に関する詳細は割愛しますが、債務不履行責任に関する改正法の適用について、①改正法施行日前に債務が生じた場合、②改正法施行日以後に債務不履行が生じた場合であっても、その原因となる法律行為(契約の締結等)が改正法施行日前に発生した場合、における債務不履行責任については、現行法が適用されるとされます(改正法附則17条1項)。

  また、債務不履行に基づく契約の解除に関して、改正法施行日前に契約が締結された場合には、現行法の規定が適用されます(同附則32条)。

 

3.債権譲渡規定に関する経過措置について

 現行法では、債権譲渡禁止特約が付された債権の譲渡は原則として無効とされていましたが、改正法では原則として有効である旨、変更されてます(改正法466条2項)。ただし、譲受人が譲渡禁止特約について悪意・重過失(知っていたか容易に知ることができた場合)には譲渡禁止特約を対抗できるとされます(改正法466条3項)。また、金融機関に対する預貯金債権の譲渡禁止特約については、悪意・重過失の譲受人に対抗できる旨特に明記されています(改正法466条の5第1項。なお、判例上、預貯金債権の譲渡禁止特約については容易に知りうるとされており、原則として譲渡は無効となります)。

 上記債権譲渡規定の適用に関しては、改正法施行前に対象債権譲渡の原因である法律行為(対象債権の売買等)が行われた場合は現行法が適用され、施行日移行に対象債権譲渡の原因である法律行為が行われた場合は、改正法が適用されるとされます(改正法附則22条)。

 

4.定型約款規定に関する経過措置について

 改正法では、定型約款に関する規定が新設され(548条の2)、不特定多数を相手にする取引において画一的な契約内容を定め、内容が合理的な場合には、定型約款の定めが契約内容を形成するとされます。詳細は割愛しますが、大手企業と一般消費者との取引で用いられる約款等が該当すると解されます。

 定型約款に関する規定については、①現行法下で締結された契約に関する約款についても、改正法の定型約款規定の要件を満たす場合には、原則として改正法が適用されるとされます(改正法附則33条1項本文)。ただし、現行法規定によって生じた効力は妨げられないとされます(同項但書)。

 また、②改正法施行日の前日、すなわち2020年3月31日までに、当事者の一方が書面又は電磁的記録によって反対の意思を表示した場合には、当該契約については引き続き現行法によるとされます(同附則33条2項・3項)。もっとも、契約又は法律の規定により解除権を現に行使できる者は、契約を解除すれば足りるため、反対の意思表示はできないとされます(同附則33条2項カッコ書き)。

 

5.その他、実質的な改正に当たる規定には基本的に経過措置が定められていますが、詳細は割愛します。

小川 智史 弁護士

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