弁護士コラム

コロナウィルス感染拡大と危険負担・契約解除等について②

[投稿日] 2020年02月21日 [最終更新日] 2020年03月24日
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小川 智史 弁護士 小川智史法律事務所

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前回、債務不履行や危険負担、契約解除に関する現行民法及び改正民法の規定について言及しましたが、契約条項や個別合意による対応について述べておきます。

1.(1)先述した民法の規定に関しては、契約自由の原則により、①②債務者を免責する場合に関する定め、③④危険負担に関する具体的適用、⑤⑥契約解除の具体的要件については、原則として特約によって定めることが可能です。

 企業間取引では特約で、大手企業と消費者との取引に関しては約款で定められていると思われます。

 現在の契約条項で、交通機関や公共施設、物流が事実上利用困難という事態が発生した場合における適用が不適当と思われる事項がある場合には、現実にかかる事態が発生する前に、特約を定めておくのが望ましいでしょう。

(2)なお、消費者取引に限らず事業者取引を含め、不特定多数の相手方に対し画一的な定型約款で契約内容を定めている場合(改正民法548条の2第1項)、本年4月1日以降、(a)定型約款の変更が相手方の一般の利益に適合し、契約目的に反せず、合理的なものである場合は、個別合意によらずに契約内容の変更が可能ですが(改正民法548条の4第1項)、定型約款を変更する旨及び変更後の定型約款の内容並びに効力発生時期につき、インターネットの利用その他の適切な方法により周知する必要があります(同条2項)。

 定型約款に関する改正民法の規定は、原則として改正民法施行前に締結された定型取引にも適用されますが(附則33条1項)、施行日前に当事者の一方から反対の意思表示が書面でなされた場合には適用されません(同条2項、3項)。

 

2.また、仮に契約上特約がない場合においても、交通機関や公共施設の事実上の利用困難性、あるいは物流の利用困難性等が現実に生じた場合以後に、契約当事者間で別途合意して契約内容を変更することも、原則として可能です。

 

3.(1)もっとも、無制限に特約や合意で定められるわけではなく、著しく不当な内容の場合、①公序良俗違反(民法90条)や、②定型約款については改正民法548条の2第2項により無効となる可能性があるほか、③改正民法541条但書の立法趣旨・経緯に照らし、軽微な債務不履行による解除特約を定めても効力は認められないと解されるほか、④具体的な適用に関し、信義則違反や権利濫用として制限される可能性があります(民法1条2項・3項)。

 また、⑤事業者と消費者の契約の場合、不当条項規制を定める消費者契約法10条等に違反して無効となる可能性があるほか、⑥事業者間の契約においては、独占禁止法上の優越的地位の濫用の禁止や、下請法違反となる場合があります。

(2)関連する事例として、東京マラソンにおける一般ランナーの参加中止に関し、参加費の返還を行なわない旨の規約があるとのことであり(なお、他のマラソン大会でも同様の規定があるようです)、公序良俗や消費者契約法10条に違反しないかが問題となりますが、主として、経費支出等、主催者側に参加費相当額の損害が発生しているかの点の他、参加者に対する代替措置の有無・内容等にもよると思われます。

 マラソンの点に関しては私見ですが、大学の入学金に関しては公序良俗や消費者契約法に違反せず、当該年度の3/31以前に入学辞退した場合の授業料徴収に関しては消費者契約法に違反するとの最高裁判例(H18.11.27)があります。当該判例では、入学金に関し、大学に入学する地位を取得する対価としての性質を有するとしたうえで、事務手続費用にも充当される点等を踏まえ、不相当に高額でない限り公序良俗に反しないとしています。

小川 智史 弁護士

注力分野
交通事故
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