弁護士コラム

相続が発生しました。不動産の賃料収入は誰のものになりますか?

[投稿日] 2020年01月31日 [最終更新日] 2020年02月08日

相続が発生しました。不動産の賃料収入は誰のものになりますか?

2020.1.25 弁護士中野雅也

 

【お困りの内容】

・被相続人が遺言を残さずに亡くなった。

・遺産にアパート等の賃貸物件による賃料収入(家賃収入)がある。

・相続人のひとりが賃料収入(家賃収入)を独り占めしている。

 

【相談の一例】

 この度、母が亡くなりました。遺言はありません。母はアパートを所有して賃貸に出していました。相続人は兄と弟の二人で、私は弟です。困ったことに、母と同居していた兄が、賃料の入金先を兄名義の銀行口座に移してしまいました。私が兄に対して、アパートの賃料を全て持って行ってしまうのはおかしいと抗議しましたが、兄は、自分がアパートを相続するのだから、遺産分割協議中の賃料を受け取る権利があると主張しています。兄の言い分に納得できません。

 

【回答】

 下記の最高裁の判例によると、遺産分割協議中の遺産から生ずる賃料債権は、相続人が相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得します。

 したがって、相談者である弟様は、遺産分割協議中、賃料債権のうち法定相続分である2分の1を確定的に取得することになります。

 例えば、月額50万円の賃料債権があるとすると、弟様は月額25万円の賃料債権を取得することになります。

 

【今後の方針】

 弟様は、賃借人又は賃料回収を受託している管理会社との間で、賃料の2分の1を直接支払うよう交渉することが考えられます。弟様は、下記最高裁の判例のとおり、「分割」された賃料「債権」を「単独」で取得していますので、お兄様の同意を得る必要はありません。

 弟様は、兄に対し、遺産分割協議中に発生した賃料のうち、兄が取りすぎた分を返してもらうべく、不当利得に基づく利得金返還請求等を行うことで対応することが考えられます。

 なお、管理会社や賃料の額によっては、弁護士からの通知がなければ、賃料の振込先口座を変更できないと対応される場合もあります。

 弁護士に依頼することにより賃料の入金先の変更手続等がスムーズに進むことが期待できると思われます。

 

弁護士中野雅也のホームページ:https://www.nakanobengoshi.com/

 

【最高裁判所の判例】

最判平成17年9月8日民集第59巻7号1931頁

判示事項

「共同相続に係る不動産から生ずる賃料債権の帰属と後にされた遺産分割の効力」

裁判要旨

「相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、その帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けない。」

裁判所HP:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52401

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中野 雅也 弁護士

取扱分野
相続 労働

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