弁護士コラム

調停外で養育費を請求するときに意識したい3つのこと~離婚~

[投稿日] 2018年07月18日 [最終更新日] 2018年07月18日
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山田 雄太 弁護士 山田法律事務所

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弁護士の山田雄太です。

 

今回のテーマは、「調停外で養育費を請求する交渉をする際に意識したいこと」です。

 

養育費というのは、お子様を育てていくにあたり、非常に重要な要素となります。

やはり、親として、絶対に継続的に支払ってもらいたいお金となります。

 

調停に入る前であれば、当事者間で養育費の取り決めをすることになる訳ですが、

養育費を月々いくらもらうかという取り決めをする際、

継続的に養育費を支払ってもらうために、

弁護士の視点としては、やはり、いくつか気を付けて頂きたい点があります(特に、離婚を争われたら離婚原因が認められるか怪しい方は、是非お読みいただきたいと思います。)。

 

今回、調停外で養育費を請求する交渉をする際に意識したいことを、大きく3点お伝えしたいと思います。

それは、

① (前提として)婚姻費用の請求を忘れていないか。

② 公正証書による合意を求めるか否か。

③ 長期的に継続して支払ってもらうという養育費の特殊性を踏まえて養育費の請求ができているか。

という視点です。

 

それぞれの視点について、ご説明いたします。

 

1 「① (前提として)婚姻費用の請求を忘れていないか。」という視点について

(1)「婚姻費用」とは、離婚成立前に貰えるご自身とお子様の生活費を内容とします。

むしろ、子供の生活費に加えて、自分の生活費ももらえることになりますから、

養育費よりも貰える額が大きくなります。

養育費の交渉も長引くこともそれなりにあり、

その際に、離婚成立までに婚姻費用を請求するということは、

生活をしていくにあたり、非常に重要な要素となります。

離婚成立までに時間がかかる見込みの場合、

早めに「婚姻費用」は請求したほうがよいと思われます。

(2)一方で、早期の合意成立が期待できる場合、

あえて、婚姻費用を請求しないことが、交渉のカードになることがあります。

「早期に合意してくれるのであれば、あえて婚姻費用は請求しない」

というものです。

相手としては、合意に時間がかかれば婚姻費用を請求される(余計にお金を払わなければならなくなる)と考えますので、

「今であれば」という視点は、

合意成立に向けての一つのインセンティブになるでしょう。

やはり、養育費というのは、長期的な支払を内容とする合意ですから、

「目先の利益(婚姻費用)を捨てて、長期的な利益(養育費)を得る」

というのも、重要な選択肢だと思います。

 

2 「② 公正証書による合意を求めるか否か。」という視点について

次は、合意書の締結の仕方についての考え方です。

大きく合意書の種類としては、

「公正証書による合意書」

と、

「公正証書によらない合意書」

がございます。

双方のメリット・デメリット(リスク)についてご説明いたします。

 

(1)「公正証書による合意書」作成の場合

ア この場合のメリットは、何といっても執行が容易なことです。

養育費の支払については、非常に執行上の手当てが厚く、不払いになった場合に、給与に対して差押をすることができます。

その意味では、相手が養育費を不払いになった場合には、余計な手続きを経ることなく執行ができるので、養育費を貰う側としては保護が厚いと考えられます。

ただし、養育費の支払義務者がどうあっても支払う気がない場合には、転職をしてしまったり、あるいは、口座の預金も全て別のところに逃がしてしまうので、その先にまで追いかけられるかどうかというのは何とも言えないところがあり、公正証書によって合意書を作成したとしても、システム上の限界があるとはいえます。

イ 一方で、デメリットですが、公正証書の作成を求めるということは、「執行認諾文言」を合意書の内容に含めることとなります。

「執行認諾文言」とは、養育費の不払いがあった場合には、自己の財産や給与債権に対して執行してもかまいませんという養育費の支払義務者の言葉です。

この文言を相手に書いて欲しいと求めるといことは、相手からしたら、当然、面白くありません。

「自分が信用されていない」と思うわけです。

そうなると、そもそも最初は「離婚の有無」や、「親権」について合意が得られていたとしても、最悪、「やっぱり争うことにする」と言われてしまうリスクもあります。

この展開は、

離婚原因が明確に認められるか微妙なケースの場合には、非常に恐ろしいことです(離婚を争われると、離婚成立までに3年や5年の別居は覚悟しなければなりません。)。

そのため、公正証書による合意を求めるか否かは、

相手方の性格次第ですが、慎重に検討しなければならないと思います。

 

(2)一方、「公正証書によらない合意書」を作成する場合

ア この場合のメリットは、何といっても、合意書締結まで一直線に行けることです。

養育費と婚姻費用についても、条件にそこまで乖離がなければ、合意のハードルは、公正証書による場合よりも低くなります。

その際、「離婚」と「親権」を重視していた場合には、その目標には最短で至ることができます。

養育費の不払いについても、(あえて言い方を選ばなければ)所詮は金銭の問題です。

もちろん、軽視できるものではありませんが、離婚とか、親権について最短で望む解決できることと比べた場合、後者の解決は大きな価値があるものであると考えます。

イ 一方で、この場合のデメリットは、執行が容易ではない点です(公正証書での合意のメリットの裏返しですね。)。

この場合、合意書を基に訴訟を提起し、確定判決をもらい、その上で執行をする必要があります。

当然、非常に迂遠で、時間も労力もかかります。

確定判決を貰ったとしても、財産を隠されて、執行できなリスクもございます。

正直に言って、養育費を不払いにされた際に、

訴訟を起こしてまで、養育費を回収するには、お金も精神力も必要となりますから、

かなりハードルが高いものとなります。

養育費を不払いにされたまま、それ以上のアクションができない大きな理由の一つには、「公正証書による合意書」を結べていないことが挙げられると考えます。

このリスクも当然軽視できないものではあるとは思います。

 

(3)以上を踏まえて、公正証書による合意書締結を揉めるかどうか、ご検討いただくことになりますが、

最後は、相手方をどこまで信用できるかということと、自分の経済力としてどこまで支える自信があるかといことになろうかと思います。

相手方が、お子様を思っていれば、子供の為に、養育費はしっかり払うでしょう。

一方で、信用できない人物だったとすれば、不払いのリスクは当然ございます。

その点については、相手方のキャラクターを含めて、ご検討いただければと存じます。

もう一点は、不払いをされた場合のリスクをどこまで取れるかということです。

経済力がない方ですと、どうあっても公正証書にしなければなりません。

執行まで時間がかかっては、生きていくのがかなり厳しくなってしまうからです。

しかし、養育費がなかったとしてもなんとかやっていけるというのであれば、公正証書に強くこだわらないことも選択肢の一つです(ただし、ここまで経済力がある方は、なかなか多くはないのではないかと思います。)。

 

(4)やはり、最後は、何を重視するかです。

もちろん、公正証書についても、すんなり合意してくれる可能性も十分にあります。

でも、へそを曲げて、「やっぱり離婚しない」と言われるリスクもございます(離婚原因が認められるか微妙なケースでは、何としても避けなければならないことです。)。

「離婚」と「親権」が何よりも重視している場合には、

その可能性をどれだけ高めて、どれだけリスクをとることができるかが重要ではないかと存じます。

 

3 「③ 長期的に継続して支払ってもらうという養育費の特殊性を踏まえて養育費の請求ができているか。」という視点について

 

(1)養育費を払ってもらう立場からしたら、「子供のために少しでも多くのお金が欲しい。」、「多くのお金を支払う合意を締結したい。」

と思われるかと思います。

当然です。

子供を育てる責任を負う者として、経済面は絶対に不可欠な視点だからです。

 

(2)しかし、

養育費の交渉をするにあたり、敢えて申し上げるべきことがございます。

それは、「養育費の支払」という特殊性に目を向けて欲しいと言う点です。

養育費の支払というのは、単発の一回きりの支払と異なり、

「長期」かつ「継続的な」支払となります(住宅ローンの返済に類する性質です。)。

そうすると、「一回払っておしまい」では、たくさん払ってもらった方がいいに決まっていますが、

「長期」かつ「継続的な」支払であると、

養育費の支払義務者たる相手方の経済状況、あるいはキャッシュフロー

にも目を向ける必要があります。

 

(3)養育費の不払いの原因は、元配偶者との関係が悪化することにもありますが、

最大の原因は、経済状況の悪化により、養育費の支払いが大きな負担になってしまうことにあります。

養育費の支払の約束というのは、合意後15年や18年等の非常に長い約束となります。

合意時に、より多くのお金を支払ってもらうとの合意を取りつけるということができれば、短期的には大きな成功といえます。

しかし、多くのお金の支払の合意を取り付けるということは、支払義務者にとっては、その分だけ負担となることになります。

 

(4)短期的に多くの額の支払の約束を取り付けることができたとしても、将来的に支払義務者が養育費の支払を大きな負担と考えて、不払いになってしまったら、せっかく大きな額の支払を約束できたとしても、水泡に帰してしまうことになるのです。

多くのお金を支払ってもらうとの合意を取り付けたことが初めて意味を持つのは、最後まで継続的に支払ってくれた時です。

途中で不払いになってしまったら、多くの額を支払ってもらうとの合意をした意味はもはやなく、かえってマイナスになるとすら言えるでしょう。

執行というのはそれだけ大変であるし、転職された場合等にそもそも追いかけられないリスクすらあるのです。

多少額が少ない合意となっても、相手方に15年以上の長期間自発的に払わせ続けるということが何よりも重要なのです。

自発的に支払わせ続けることができれば、それこそが最大の成功といえるのです。

 

(5)その意味では、長期的な利益を見据える必要があるかと存じます。

短期的に良い条件の合意を取り付けられたことが直ちに成功を意味しないのです。

長期的に、どうしたら支払ってもらうかと視点で交渉する必要があるのです。

そこが、養育費の合意の難しい所でもあるのです。

やはり、不払いを避けるためには、

相手のキャッシュフローを意識して、

「継続的に払っても相手が生活できる額とすれば、いくらだろうか」

という視点も重要になるのではないでしょうか。

 

以上、3点、意識して頂きたい点を申し上げました。

養育費の交渉に際して、何か、不明点や不安な点があれば、

遠慮なくご連絡頂ければと存じます。

 

 

 

東京都新宿区新宿1-6-5 シガラキビル5階

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