自動車の経済的全損の時、買替諸費用は消極損害ですか?

User image 1 lu_97848deeさん 2017年10月25日 20時24分

彼女の自動車が事故に遭い(幸いけがはありませんでした)、私も以前、自動車物損事故を経験しているので、その経験から保険会社との交渉について教えて欲しいと彼女から相談を受けました。
彼女は修理希望ですが、相手の保険会社から、「修理費の全額が出せるかどうかわからない。修理費が時価額を越える場合には経済的全損となり、修理費は払えない」と言われているそうです。
私からは、経済的全損となった場合においても少しでも多く相手の対物保険から出してもらう、そのためには修理の見積書とは別に、同種同等の中古車の見積書を販売業者からもらう、見積書には買替諸費用も書いてもらって相手の対物保険から出してもらう、ようにとアドバイスしました。
彼女はその後、相手の保険会社に修理見積書と同種同等の中古車の見積書の両方を提出しました。
修理費>時価額で、買替諸費用を加えても、修理費>時価額+買替諸費用だったそうです。
相手の保険会社からは、
・ 経済的全損である。
・ 対物保険は実際にお金を支払わなければならなくなった損害、つまり積極損害を補填するもの。
・ 彼女は修理する以上、買替諸費用は実際にお金を払うわけではない、つまり消極損害である。
・ したがって、買替諸費用は対物保険から出せない
と言われたそうです。

そこで先生方にふたつ質問がございます。

1. 保険会社がいうとおり、買替諸費用は消極損害なのでしょうか?
2. 実際に中古車を買えば、買替諸費用は積極損害に変わるのでしょうか?

当該保険会社の主張する積極損害と消極損害の区別は、支払額を減額するための便法に過ぎないものと思われます。

一般的には、修理代の方が高額で経済的全損となる場合、車両時価(税込)+買換諸費用が上限とされます。
そのような場合、現実に買換えを行なうか否かにかかわらず、車両時価(税込)+買換諸費用以上の出費が見込まれることは確実であり、あくまで損害額の上限を決めるための基準に過ぎない以上、当該保険会社が主張するような損害区分を行なう意味はないと思われます。
上記のような区分を行なえば、修理すれば使用可能な自動車についても、事実上買換えを余儀なくされるということにもなりかねません。

もし、対物保険の対象外であるならば、相手方本人に請求するということでよいか、当該保険会社と交渉してみてはいかがでしょうか。

2017年10月25日 21時06分
補足質問
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lu_97848dee - 2017年10月27日 23時01分

小川智史先生、ご回答ありがとうございます。

便法ですか・・・、交通事故には、積極損害と消極損害と慰謝料があって、人身事故ならいずれも支払われるが、物損は積極損害だけと、もっともらしく説明されたそうです。

>>上記のような区分を行なえば、修理すれば使用可能な自動車についても、
>>事実上買換えを余儀なくされるということにもなりかねません。

 なぜか、相手の保険会社も同じことを言っているそうです。買換諸費用まで保険で出るとなると、保険が修理を否定して買換えを強制することになる、と言っているそうです。意味が分かりません。

相手方本人に請求することは、相手の保険会社から止めてくれ、示談代行で任されている、といわれているそうです。

彼女が入っていた保険会社からは、今回のように過失がない一方的な当たり方の場合、示談代行はできないと言われています。

彼女は、「事故処理満足度九十何パーセントとか業界ナンバーワンとか、あれなに? 自動車保険って何の役にも立たない」と怒っています。

もはや裁判以外、どうしようもないのでしょうか。
補足回答
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小川 智史 弁護士 - 2017年10月28日 07時47分

相手方保険会社の主張は意味が分かりません。
私が指摘しているのは、「修理を選択した場合に買換諸費用が保険で出ないのであれば、事実上買換えを余儀なくされる」という意味であって、当該保険会社の主張とは逆です。また、いずれを選択しても買換諸費用が支払われるのであれば、買換えを余儀なくされる結果とはならないでしょう。
さらに、「買換え諸費用が保険適用外」であるならば、保険が適用されない以上示談代行の対象外との帰結になるはずであり、当該保険会社の主張は矛盾しています。

保険会社の示談代行に関しては、そもそも有償での示談代行を原則禁止する弁護士法との関係があり、契約者に過失がある場合は保険金支払いの可能性があるため保険会社自身の債務と同視して交渉可能と解されていますが、契約者の過失ゼロの場合は保険会社自身の債務と同視することができず、示談代行ができないとされています。

弁護士費用特約をお持ちであれば、弁護士への依頼を検討された方がよいかと思います。
お持ちでない場合は、ご自身でのADRあるいは調停申立て等の方法が考えられますが、その前に、相手方保険会社に対し、「あくまで上記のような意味不明な主張に終始するのであれば、訴訟等の法的手続を検討中である」等と申し向けてはいかがでしょうか。
補足質問
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lu_97848dee - 2017年10月30日 22時05分

小川智史先生、無料の掲示板なのにこんなに親切にご回答いただき、ありがとうございます。

自分が入っている自動車保険の示談代行は相手の過失が100%の時には使えないとは彼女も私も知らなくて、結構ショックでした。示談代行があるから弁護士費用特約に入っていなかったのです。

事故担当者って支払うと給料が減らされる歩合制なの?と思えるほどです。事故担当者が意味不明なのでお客様センター長という上司の人に話をしたそうですが、「そういう意味では言っていない」と釈明するばかりで、「裁判も考えている」と伝えても、「実際に買い替えて払わない限り、保険は出ない。裁判でも、滅多に認められない。認められた判決が本に載っていてご覧になったようだが、それは過度に消費者寄りの先生が書いている本。買換費用は出ないと書いてある本や判決をいくらでもお見せしますよ」とのことでした。

調べてみましたが、そんぽADRセンターというところがあるんですね。そのほかに、金融庁に金融サービス利用者相談室というところがあるようですが、そこに相談するのは効果はあるでしょうか。
補足回答
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小川 智史 弁護士 - 2017年10月30日 23時27分

大変申し訳ありませんが、再度検討しましたところ、買換諸費用については実際に支出した場合に限定するというのが裁判例の多数派のようです。
先日ご回答したような見解も全く成り立ちえないわけではないですが、少数説のようです。
したがって、そんぽADRや金融庁に相談しても期待薄と思われ、手段としては訴訟提起して後者の見解に立つ判決を得る必要がありますが、費用対効果に見合うのか慎重に検討する必要があります。
誤解を招くおそれのあるご回答を差し上げた点につき、お詫び申し上げます。
補足質問
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lu_97848dee - 2017年12月04日 21時11分

小川智史先生、以前、ご回答いただき、ありがとうございます。その後の報告です。
彼女はどうしても納得できず、裁判所のホームページから簡易裁判所用の訴状をダウンロードして、それに書き込んで、裁判所に相談に行きました。私も付き添いました。
裁判所の受付の相談室で、

・弁護士に頼むと、買換諸費用分の金額を仮に勝訴しても、弁護士費用での持ち出しの方が大きくなると思う。
・ついては、本人訴訟をしたいので簡易裁判所にお願いしたい。

と相談しました。相談員の方が、緊張していた私達がこちらが拍子抜けするくらい親切に相談に乗ってくれて、

・簡易裁判所は140万円以下の事件を扱う。修理費を請求すると140万を越えるので、地方裁判所の扱いになる。
・訴状の様式は簡易裁判所用だが、内容はよく書けているので、地方裁判所に提出しても受け付けてもらえるだろう。

とのことでした。本人訴訟でいきなり地方裁判所は敷居が高いと相談したところ、「一部請求」という方法を教えてくれました。
それから、法務局に行って事故の相手の会社の「現在事項証明書」をもらってきて、訴状に添えて、簡易裁判所に提出しました。

法務局の窓口では「その名前の会社はその住所には存在しない」と言われ、逃げられたのかと焦りましたが、法務局の窓口の人も親切で、「電子端末で住所を入れず、会社の名前だけで検索すれば出てくるかも知れない」と教えていただき、その通りやってみると、見つかりました。聞いていた住所は会社のホームページにも書いてあった住所ですが、登記されている正式な住所とは違っていたようです。

このQ&Aを後から読む人のために詳しく書いたので、弁護士の先生が読まれるとあれかも知れませんが、いい社会勉強になりました。
裁判はこれからですが、最後にひとつ質問です。裁判は法廷ドラマのように討論することはなく、書類を提出するだけだと聞きました。彼女よりも私の方が平日、休みを取りやすい職業なのですが、彼女がどうしても仕事を休めない時、私が代わりに書類を出しに行くことはできるのでしょうか?
補足回答
Resized avatar mini magick20170419 15354 4y9nui

小川 智史 弁護士 - 2017年12月04日 22時24分

民事訴訟は書面審理が中心ですが、法廷では単純に書面審理のみの進行というわけではなく、適宜口頭でのやり取りも行われます。
物理的に本人名義の書面を提出するだけであれば可能ですが、簡裁での代理人として認められるためには裁判官の許可が必要です。ただ、配偶者ではなくあくまで交際関係に過ぎないとなると、代理人として認められない可能性が高いです。
本に訴訟での進行方法については、裁判所とよく協議頂く必要があるでしょう。
なお、無料相談の関係上、ご回答は以上にて終了とさせて頂きます。

投稿時の情報です。適法性については自身で確認のうえ、ご活用ください。

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