調停・審判・裁判など

調停離婚、審判離婚、裁判離婚の基本│裁判所を介して進める離婚の方法
「夫が浮気したから離婚したい」「妻と性格が合わないので離婚したい」夫婦の一方がそう希望しても、相手が同じ思いとは限りません。相手はまだ思いを残していて絶対に離婚をしないと言い張るかもしれません。
離婚には応じても、財産分与や慰謝料などの問題が解決しないこともあります。
離婚の話し合いがこじれて決着しないとき、どんな方法を採ればいいでしょうか。
そこで進むことになるのが、夫婦関係調整(離婚)調停や離婚裁判です。
いずれも裁判所に申し立てることになりますが、「裁判所なんて行ったことがないし…」と不安に感じる方も多いでしょう。
ここでは、裁判所を介して進める離婚の方法(調停離婚、審判離婚、裁判離婚)の基本をご紹介します。
どんな手続きなのか、どういう場合に利用するのか、ご自身のケースに当てはめてみてください。
離婚には実は主に4種類あります。裁判所を利用しない協議離婚と、裁判所を利用する調停離婚、審判離婚、裁判離婚です。さらに、裁判離婚は、その終わり方によって主に3種類に分けられます。
まずは簡単に紹介します。
1-1 基本的には4種類
離婚の方法には、大きく分けて次の4種類があります。
【協議離婚】裁判所を介さず、夫婦間で話し合って離婚に合意し、離婚届を提出することで成立する離婚の方法です(民法763条)。
【調停離婚】夫婦間の話し合いだけでは離婚の合意に至らなかった場合に、裁判所の調停手続を利用し、裁判官や調停委員を介して話し合うことによって、離婚の成立をめざす方法です。
【審判離婚】調停が成立しなかった場合に、夫婦間の事情や当事者双方の意見等を考慮して、家庭裁判所が離婚を成立させた方がよいと判断することがあります。この判断に基づき離婚する方法が審判離婚です。
【裁判離婚】調停・審判を経ても離婚が成立しなかった場合に、夫婦の一方が家庭裁判所に裁判を起こして、裁判を経て離婚の成立をめざす方法です。
裁判によって離婚が認められるためには、民法が定める離婚原因が必要という特徴があります。
“裁判離婚"は、その解決方法によってさらに“和解"、“認諾"、“判決"の3種類に分けられます。
詳しくは5章をご覧ください。
1-3 調停離婚や裁判離婚はどれくらい成立している?実は9割が協議離婚!
実際、離婚する人はどの手続きによって離婚しているのでしょうか。
厚生労働省が毎年公表している人口動態調査に基づく統計によると、離婚の種類別に見た最近2年の離婚件数は、次のようになっています。裁判離婚は、和解離婚・認諾離婚・判決離婚の合計数です。
総数 | 協議離婚 | 調停離婚 | 審判離婚 | 裁判離婚 | |
---|---|---|---|---|---|
2015年 | 226,215 | 198,214 | 21,730 | 379 | 5,892 |
2016年 | 216,798 | 188,960 | 21,651 | 547 | 5,640 |
これを見ると、2015年、2016年ともに全体の9割近くを協議離婚が占めています。
つまり、ほとんどの人は、裁判所を利用せず、話し合いで離婚に至っているということが分かります。
つまり、調停や裁判に進むのは、離婚全体のうちの1割ほどということです。
第2章 どんなときに調停離婚・審判離婚・裁判離婚に進むのか1章で見たように、離婚のほとんどは協議離婚で、裁判所を利用する離婚は、全体からみれば少数にとどまっています。
では、どんなときに裁判所の手続きに進むことになるのでしょうか。
2-1 話し合いがまとまらなければまずは調停に(調停前置主義)
離婚を考えた時、まずは相手と話し合いをします。
しかし、相手が離婚に応じてくれない、離婚には応じてくれても子どもの親権や養育費、財産分与など条件面での折り合いがつかない、またはそもそも話を聞いてくれないなど、当事者同士の話し合いがまとまらない場合もあります。
そのような場合は、まず、離婚調停を申し立てます。
なお、離婚調停を申し立てなければ、離婚審判に至ることはありませんし、原則として離婚裁判を起こすことはできません。これを、調停前置主義といいます(家事事件手続法257条)。
3章で詳しく説明しますが、家庭の問題を解決するには、裁判所が「こうしなさい」と決めるよりも、まずは当事者間で話し合いをした方が良いと考えられているからです。
調停離婚については、3章で詳しく説明します。
2-2 調停後、審判にて決まることも
調停は裁判所が間に入るとはいっても、基本は話し合いです。
話し合いなので、離婚の合意に至らないこともあります。
調停での話し合いがまとまらず、当事者が合意に至らなかったものの、離婚をしたほうがよいと考えられる場合に、裁判官が調停に代わる審判を下し、離婚を認める判断をするのが審判離婚です。
審判離婚については4章で詳しく説明します。
2-3 調停でまとまらなければ裁判に
調停が不成立になった場合や、審判が確定しなかった場合は、離婚裁判に踏み切ることになります。離婚裁判については5章で詳しく説明しますが、協議離婚・調停離婚・審判離婚にはなかった特徴の一つとして、民法が定める裁判上の離婚原因(民法770条1項1~5号)が必要だという点があります。
裁判離婚については5章で詳しく説明します。
では、離婚調停について詳しく見てみましょう。
3-1 離婚調停とは
調停離婚とは、夫婦間の話し合いだけでは離婚の合意に至らなかった場合に、裁判所で調停委員や裁判官を介して離婚の是非やその条件等について話し合う方法です。
この手続きの特徴は、あくまで当事者の話し合いをメインにしているという点です。
3-2 調停のメリット
では、調停を利用することによるメリットはなんでしょうか。
【①調停委員が間に入って解決策を示してくれる】調停では、男女各1名ずつの調停委員が間に入って、話し合いが進められます。
調停委員とは、民間の有識者から選出される非常勤の裁判所職員で、裁判官とともに調停委員会を構成し、話し合いを進める役割をもっています。
調停委員から解決案を示してもらえるので、当事者同士の話し合いに行き詰まってしまった場合でも、新たな道が開ける可能性があります。
【②配偶者と顔を合わせず話し合いができる】調停委員が交互に当事者の話を聞いていき、一方が調停委員と話しているときは、他方が別室で待機することになるので、配偶者と顔を合わせず、忌憚ない意見を述べられます。
ただし、裁判所によっては、調停開始時と終了時に同席しなければならない場合があります。
【③裁判所から一方的に判断を下されない】調停は、当事者が合意しなければ成立しません。
この点、合意なく離婚の判断がなされる審判や裁判とは異なります。
裁判を起こすには、民法の定める裁判上の離婚原因の存在が必要です。
しかし、調停では、法定された離婚原因はありません。法定の離婚原因がなくても調停が成立することはあります。
ただし、しっかりした理由がなければ、調停委員も判断ができません。
納得してもらえるように説明するようにしましょう。
離婚の際には慰謝料や養育費など、一方が他方に対して金銭を支払う約束をすることがありますが、問題は、この約束が守られなかったときにどうするかという点です。離婚調停が成立した際には「調停調書」という書面が作成されますが、これによって相手が約束通りに支払いをしなかったときに、裁判所を通じて支払いを強制させることができる「強制執行」の手続きをとれるようになります。
3-3 離婚調停で決める内容とは
離婚調停では、離婚するという合意の他、次の事項について取り決めをすることが考えられます。
【お金の問題】・どのように財産分与をするか
・年金分割をどうするか
・慰謝料をいくら支払うか
・未成年の子どもの親権をどちらが持つか
・子どもと別居する親と子どもとの面会交流について
・養育費をいくら支払うか
3-4 離婚調停に当たっての準備
調停を自分に有利に進めるためには、事前にしっかり準備をしておきましょう。
基本情報として、次のような事項を整理して、調停の場で説明できるように資料等の準備をしておくとよいでしょう。
・結婚に至るまでの経緯
・離婚を考えるに至った経緯
・子どもの人数、年齢
・夫婦の職業、年収、資産および負債の状況
また、相手に対して自分が何を要求したいか(例えば、子どもの親権は自分がもちたい、養育費は月いくらほしい、など)を整理しておきましょう。
3-5 離婚調停の流れ
【①申し立て】調停を始めるには、まず裁判所に申し立てをします。
申し立てをするには、申立書とその写し1通に、夫婦の戸籍謄本(戸籍全部事項証明)、子についての事情説明書、年金分割のための情報通知書(年金分割割合についての申し立てが含まれている場合)などを添付して、裁判所に提出します。
申立書の書式は、裁判所のウェブサイトからダウンロードすることができます。
申し立てをする裁判所は、原則として相手方住所地を管轄する家庭裁判所ですが、夫婦の合意がある場合などには、その合意した家庭裁判所でも可能です。
【②裁判所からの呼び出し】申立てが裁判所に受理されると、第1回目の調停の期日が指定され、裁判所から調停期日等の呼出しがあります。何時にどの部屋に行けばよいか等を、よく確認しておきましょう。
【③裁判所での調停(複数回)】期日当日になったら裁判所に行きます。申立人と相手方の待合室は別々になっているので、相手方と何度も顔を合わせる心配はありません。申立人と相手方が交代で調停室に呼ばれ、調停委員が個別に当事者の話を聞きます。
調停委員は双方の話を聞いた後、解決案を提示します。それに当事者双方が合意すれば、調停が成立します。調停期日は数回行われるのが通常ですが、どうしても合意に至らない場合は、調停は不成立となり、終了します。
3-6 離婚調停にかかる期間
離婚調停にかかる期間はケース・バイ・ケースです。
半年程度かかるといわれています。それより短い場合もあります。
3-7 調停で離婚が成立したら
調停が成立したら、調停調書が作成されます。
ただし、調停の成立=離婚手続きの終了ではありません。
調停が成立したら、その日を離婚の成立した日とし、原則として10日以内に、申立人が調停調書の謄本と夫婦の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を添えて、本籍地または住所地の市区町村役場で、離婚届を提出しなければなりません。
離婚届が受理されれば、離婚手続きは終了となります。
3-8 離婚調停に必要な費用
裁判所に申立てをする費用として収入印紙1,200円が必要になる他、連絡用の郵便切手(金額は裁判所により異なる)が必要です。
この他、戸籍謄本の発行手数料450円も必要になります。
また、弁護士に依頼する場合は弁護士費用が必要です。
3-9 離婚調停で弁護士に依頼するべきケース
離婚調停は、弁護士に依頼しなくても自分で進めることもできます。
ただし、次のような場合は、弁護士に依頼する方が有利に調停を進められる場合もあります。
・言いたいことをうまく調停委員に伝える自信がない場合
・調停委員の言いなりになってしまいそうな場合
・不貞行為やDVなど自分にも落ち度がある場合
・慰謝料を少しでも多くとりたい場合
・相手も弁護士を立ててきた場合
審判離婚について詳しく見てみましょう。
4-1 審判離婚とは
審判離婚とは、調停手続において離婚の合意の成立の見込みがない場合に、家庭裁判所が職権で離婚を成立させる判断をするものです(調停に代わる審判、家事事件手続法284条)。
数回の調停期日を経ても合意が成立しない等の場合に、家庭裁判所が夫婦間の事情や当事者双方の意見等を考慮して、離婚を成立させたほうがよいと判断したときに下されます。
調停とは異なり、当事者の意思にかかわらず、離婚を成立させる判断をしられます。
審判が言い渡されると、審判書が作成されます。審判の告知の日から2週間以内に異議申立てがなされなければ、審判は確定します。
この審判の確定の日から10日以内に、申立人が審判書謄本と確定証明書を添えて、役所に離婚届を提出します。
確定証明書は、審判を行った裁判所で発行してもらえますので、裁判所に問い合わせてみましょう。
また、審判書があれば、相手が約束通りに金銭の支払いをしない場合に、強制執行をすることができます。この点も調停と同じです。
4-2 審判離婚はまれなケース
審判離婚となるケースは、ほとんどありません。
1-3の表のとおり、離婚件数全体の1%にも及びません。
離婚裁判を家庭裁判所で行えるため、調停の後にスムーズに訴訟できることなどが原因だと考えられます。
4-3 審判に異議がある場合はどうする?
審判に不服がある場合、審判の告知の日から2週間以内であれば、家庭裁判所に異議を申し立てられます(家事事件手続法286条1項)。
適法な異議が申し立てられると、審判の効力は失われてしまいます(同法286条5項)。
審判の効力が失われた場合は、離婚裁判を起こして、以後は裁判手続きで問題解決を試みることになるでしょう。
最後に、離婚裁判について詳しく見てみましょう。
5-1 離婚裁判とは
離婚裁判とは、調停・審判を経ても離婚が成立しなかった場合に、夫婦の一方が家庭裁判所に裁判を起こし、離婚するかどうか、また離婚する場合の条件を裁判官の判断に委ねる方法です。
5-2 裁判離婚は3種類に分けられる
裁判といえば判決、と思われがちですが、離婚裁判は、解決方法によってさらに3種類に分けられます。
【お互いが譲歩して和解する「和解離婚」】和解離婚とは、離婚裁判の当事者に対して、裁判所が和解による解決をすすめ(和解勧試)、当事者が離婚の合意をすれば和解調書が作成され、離婚が成立する方法です。
【どちらかが全面的に受け入れる「認諾離婚」】認諾離婚とは、離婚裁判の被告(訴えられた人)が、原告(訴えた人)の請求を全面的に受け入れた場合に、認諾調書が作成され、離婚が成立する方法です。
和解離婚と認諾離婚は、裁判所という第三者の判断である判決によらずに裁判が終了するという点では共通しています。
しかし、和解離婚は、両方の当事者が「養育費は相手の要求額通りに支払う代わりに、慰謝料は相手の要求よりは減額してもらう」というように、お互いの言い分を譲り合う形で成立するのに対して、認諾離婚は、一方の当事者が他方の言い分に全面的に従う形で成立するという点が異なります。
判決離婚とは、和解や認諾によって裁判が終わらない場合に、裁判所が両者の言い分や証拠をもとに、離婚を認める、あるいは認めない判断=判決を下すという方法です。
裁判所が強制的に結論を出す点が特徴です。
5-2 離婚裁判で争う内容とは
離婚裁判では、まず離婚する・しないという点を争うことができます。
また、未成年の子どもの親権、面会交流、養育費の支払い、財産分与や慰謝料の支払いについても争うことができます。
5-3 離婚裁判をするための要件
離婚裁判をするためには一定の要件があります。
【調停を経る必要がある】原則として、離婚調停を申立てずに、いきなり離婚裁判を起こすことはできません(調停前置主義、家事事件手続法257条)。
ただし、相手方が行方不明の場合など、そもそも相手と話し合いを持つことが不可能な場合には、例外的に、調停を経ずに離婚裁判を起こすことができる場合があります。
裁判で離婚が認められるには、相手方に民法が定める裁判上の離婚原因がある必要があります。
離婚原因は次の5つです。
不貞行為とは、配偶者以外の異性と肉体関係を持つことです。いわゆる不倫行為があった場合です。
[②配偶者から悪意で遺棄されたとき]同居を拒否したり、資力に応じた生活費用の分担をしなかったりした場合です。
夫婦は生活していくうえでの費用を分担し、協力することが義務付けられています。
最後に生存が確認されてから3年以上経っている場合です。
生死が不明な場合であり、単なる行方不明の場合はこれに当たりません。
重篤な精神疾患に罹患してしまい、夫婦としての共同生活を送ることが難しい場合です。専門医の鑑定が必要になります。
[⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき]①~④に当てはまらないものの、これに匹敵するような重大な理由がある場合です。
つまり、これらのいずれにも当てはまらない場合は、離婚裁判は起こせないということになります。
明確に定められていないため、個別の事情によりますが次のような場合に認められることがあります。
・暴力を振るう(いわゆるDV)
・定職につかない
・ギャンブルに溺れる
・セックスレス、姓の不一致
・性格の不一致
・宗教上の問題
・親族問題
・重大な病気や障害
5-4 離婚裁判の流れ
【①訴状の提出】離婚裁判を起こすには、まず夫婦の一方が訴状を家庭裁判所に提出します。
【②答弁書の提出】訴えられた側は、訴状に対する答弁書を裁判所に提出します。
【③口頭弁論・尋問】当事者は、主張を裏付ける証拠を提出したりします。裁判所は、当事者の主張を聞いたり、提出された証拠を調べたり、証人尋問を行ったりして、離婚の訴えが認められるか否か等を判断します。
【④和解勧試があることも】裁判の過程で、裁判所から和解による解決を進められることもあります。この場合、夫婦間で離婚の合意ができれば、和解離婚が成立します。また、被告(訴えられた側)が原告(訴えた側)の言い分を全面的に認めれば、認諾離婚が成立します。
【⑤判決】和解離婚にも認諾離婚にもならなかった場合、裁判所は判決を言い渡します。
判決に納得がいかない場合は、一定期間内であれば、控訴(不服の申立て)をすることも可能です。
5-5 離婚裁判にかかる期間
離婚裁判にかかる期間は、ケース・バイ・ケースですが、平均して1年程度はかかるようです。
離婚調停より、離婚裁判の方が長期戦になる傾向があるといえます。
調停も経てから裁判を執り行うため、裁判離婚が成立するまでには、相当の期間がかかることになります。
5-6 和解離婚・認諾離婚が成立したら
和解離婚・認諾離婚が成立すると、和解調書・認諾調書が作成されて、離婚裁判は終了します。
ただし、裁判が終われば離婚手続きが終わりというわけではありません。和解調書ないし認諾調書をもって、10日以内に離婚届を役所に提出する必要があります。この点は、調停や審判の場合と同じです。
5-7 裁判で離婚が成立したら
離婚を認める判決が言い渡されると、判決書が作成されます。判決に不服がある人は、判決書の送達を受けた日から2週間以内であれば、高等裁判所に控訴して、引き続き争うこともできます。
控訴されなかった場合、2週間で判決は確定します。
判決が確定したら、10日以内に判決書謄本と確定証明書をもって、役所に離婚届を提出すれば、離婚の手続きは終了です。
確定証明書は、裁判を行っていた裁判所で発行してもらえる(手数料150円)ので、裁判所に問い合わせてみましょう。
5-8 離婚裁判に必要な費用
離婚裁判を起こすには、手数料として13,000円分の収入印紙が必要です。なお、慰謝料請求などを合わせて行う場合は手数料が上がる場合があります。(請求金額によって金額は変わります。)
他に、連絡用の郵便切手(金額は裁判所により異なります)が必要です。
また、裁判を弁護士に依頼する場合は、弁護士費用がかかります。
5-9 裁判を有利に進めるために
裁判所に訴えただけで、離婚が認めてもらえるわけではありません。離婚裁判を有利に進めるためのポイントをご紹介します。
【離婚原因の証拠をそろえる】裁判で離婚が認められるには、法定の離婚原因の存在を証拠に基づいて主張することが必要になります。つまり、証拠が必要です。
例をあげると、相手に不貞行為があった場合(民法770条1項1号)は、ホテルに出入りする写真や、不貞行為をうかがわせるメールなどが証拠になります。写真やメールを複数回分用意すれば、不貞行為が継続して行われていたことの証明になることがあります。
また、相手からDVを受けていた場合は、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(民法770条1項5号)に該当する場合があります。相手の暴力によって負傷した際の医師の診断書や、患部の写真などが証拠になります。
【弁護士に依頼する】裁判では、自分の言い分を準備書面という書面にまとめて提出することを求められるでしょう。
また、言い分を裏付ける証拠を収集し、提出する必要があります。これらの書面作成や証拠の収集・提出を適切に行うには、法律の知識が必要です。裁判を有利に進めるためには、法律の専門家である弁護士の力を借りることも重要でしょう。
5-10 弁護士に依頼するメリット
離婚裁判は、金銭面・精神面・時間面で当事者に大きな負担となる手続きです。しかし、弁護士に依頼すれば、精神面・時間面での負担が軽減できる場合もあります。
【弁護士の法律的知識・経験を利用して訴訟を進めることができる】当事者が手続きを進めようとすると、自分の言い分をうまくまとめられなかったり、提出すべき証拠を見逃してしまったりして、自分が有利になるように手続きを進めることが難しい場合があります。
この点、法律の専門家である弁護士に依頼すれば、打ち合わせ時に聞き取った話をもとに、言い分を適切にまとめて裁判所に伝えてもらえます。またどのような証拠を収集すればよいかについてもきちんと指示してもらえるので、安心して準備を進められるでしょう。
離婚裁判では、期日には裁判所に出廷しなければなりません。
しかし、仕事をしながら裁判を進めると、スケジュールの調整が大変です。
小さな子どものいる方は、子どもを預ける段取りもつけなければならないので、なおさらです。
この点、弁護士に依頼すれば、当事者の代わりに裁判所に出廷してくれるので、時間面の負担は軽減できます。
【弁護士が必要な書面を作成してくれる】裁判で主張したいことは、準備書面という書面にまとめて、期日の1週間程度前までに提出する必要があります。文章を書きなれていない人には、大きな負担となる作業です。
この点、弁護士に依頼すれば、必要な書面はすべて作成してもらえます。
調停・審判・裁判などを得意としている弁護士
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有責配偶者からの離婚請求であるが、別居期間10年で離婚は可能でしょうか?