誹謗中傷 ネットトラブル

誹謗中傷を受けた際の相談先・弁護士に相談する場合の費用は? - 問題解決サポート

2022.10.03
「誹謗中傷」のイメージ画像

インターネットやSNSの普及が急速に進む中、ネットやSNS上での誹謗中傷などのトラブルが急増し、その内容も深刻化しています。

インターネットやSNSは匿名性が高いため、いわれのない悪意を向けられた時に対処が難しいという問題があります。しかも、情報拡散の速度が非常に速いため、気付いた時には世間に広く知れ渡っていることもあります。

悪質で卑劣なネットやSNS上の誹謗中傷に、どのように対処すればよいのでしょうか。また、加害者に対して法的措置を取ることは可能なのでしょうか。

今回は、誹謗中傷の定義、誹謗中傷がどのような罪に該当するか、法的措置を取ることは可能か、ネット上での誹謗中傷の事例、誹謗中傷を受けた際の相談先、弁護士に相談した場合の費用などについて解説します。

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1. 誹謗中傷とは

そもそも誹謗中傷とは、どのようなものなのでしょうか。まずは、誹謗中傷の定義について説明します。

(1) 誹謗中傷の定義

誹謗中傷という言葉を辞書で調べてみると、「根拠のない悪口を言いふらして、他人を傷つけること」と記載されています。

その中でも特に問題視されるのは、他人の名誉や心を傷つけ、社会生活に悪影響を及ぼすような内容のものです。具体的には、以下のようなものが該当します。

  • 「あの人は有名事件の犯人だ」などと事実ではない犯罪歴をネット上の誰もが見られる場所に書き込む
  • 「鼻が大きくて気持ち悪い」「頬骨おばけ」など容姿を侮辱める
  • 配偶者との関係や健康状態などの個人的な事柄や、居住地や学歴などの個人情報を暴露する

(2) 該当しない例

本人が「誹謗中傷を受けた」と感じても、誹謗中傷に該当しないケースもあります。

特に、批評や批判はネガティブな要素を含むことが多いため、誹謗中傷と混同されやすいといえます。

違いとしては、受信者と発信者の立場が平等であることや、受信者に反論の余地があること、受信者に改善の余地があることなどが挙げられます。

誹謗中傷に該当しない具体的な例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 「政治家Aは不勉強で立場に相応しくないので辞任するべきだ」
  • 「飲食店Bは掃除が行き届いていない上、美味しくなかった」
  • 「Aさんは部活の練習をさぼってばかりでみんなの足を引っ張っている」

上記のような発言は、受信者にとって嬉しいものではありませんが、反論や改善の余地があるため、誹謗中傷とは言えないでしょう。批判と誹謗中傷は似て非なるものなので、冷静に見分けて区別することが重要です。

しかし、批判と誹謗中傷は判別が難しいケースもあります。判断に迷った場合は誹謗中傷問題に詳しい弁護士に相談するとよいでしょう。

2. 誹謗中傷はどのような罪に該当するか

誹謗中傷の被害を受けた方の中には、

「加害者に対して法的措置を取りたい」、

「慰謝料を請求したい」

と思われる方もいらっしゃるでしょう。

日本の法律上、誹謗中傷罪という名称の犯罪は存在しませんが、誹謗中傷が犯罪行為に該当する場合はあります。

具体的にどのような罪に該当するか説明します。

(1) 名誉毀損罪

名誉毀損とは、「公然と事実を摘示し他人の名誉を傷つける行為」のことです。

名誉毀損は、刑法第230条に規定されている犯罪行為であり、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金が科せられます。

また、名誉毀損は他人の権利や法律上保護される利益を侵害する行為なので、民法上の不法行為(民法第709条)にも該当します。

名誉は、内部的名誉、外部的名誉、名誉感情の3つに分類され、名誉棄損罪で保護されるのは外部的名誉となります。

外部的名誉とは、人が社会から受ける社会的評価や地位のことです。

つまり、名誉棄損罪は、他者によって公然と事実を暴露されたことで、社会的評価を害されるおそれがある状態が生じた際に成立します。

「公然と」というのは、不特定または多数の人間が認識できる状態のことです。匿名掲示板やSNS上などは、まさに「公然と」といえるでしょう。

名誉棄損罪における事実は、真実であるか否かは問われません。

根も葉もないでたらめであっても、逆に道徳的に外れたことや法律に違反する真実であっても、名誉棄損罪は成立します。

名誉毀損行為であっても名誉棄損罪が認められない例外として、「公共の利害に関する場合の特例」があります。

その内容が公共の利益に関するものであり、目的が公益を図るためであった場合、真実であることを証明することで免責が認められるというものです。例えば、企業の内部告発や政治家の不祥事の報道などが該当します。

(2) 侮辱罪

侮辱とは、相手を軽んじはずかしめることや、見下して名誉を傷つけることをいいます。

侮辱罪は、具体的な事実の適示をせずに公然と他者を侮辱することを内容とする犯罪(刑法第231条)であると同時に、民法の不法行為にもあたります。

侮辱罪は2022年7月7日に法定刑が改正され、1年以下の懲役もしくは禁錮、または30万円以下の罰金が科されるようになりました。

侮辱罪は名誉毀損罪と似ていますが、「事実の適示」の有無によって区別されます。名誉毀損は外的名誉を対象とするのに対し、侮辱罪は名誉感情を保護するものだという見解もありますが、判例や通説によると侮辱罪も外的名誉の保護にあり、両者の違いはあくまで「事実の適示」の有無とされています。

例としては、「Aさんは上司と不倫をしている」「Bさんは過去に窃盗罪で服役していた」というのは具体的な事実を示しているため名誉毀損罪ですが、「Aさんはバカで仕事ができない」「Bさんはデブで醜い」など、具体的な事実を示しているとはいえない場合は、侮辱罪に該当すると考えられます。

(3) 脅迫罪

脅迫罪は、本人やその親族の生命・身体・自由・名誉・財産に対し、害を加える旨を告知して人を脅す罪(刑法第222条)です。法定刑は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。

誹謗中傷の中でも、「殺してやる」「おまえの家族を傷つけてやる」など、相手が恐れる発言は脅迫罪に該当すると考えられます。

同様の発言でも金品の強奪が目的の場合、恐喝罪もしくは強盗罪が成立することもあります。

判例によると、口頭や書面だけでなく、他でそのような発言があったことを当人が知れば成立するとされていますが、実際の審議の場では、その証拠が必要となります。

(4) 信用毀損罪

信用毀損罪は、虚偽の噂を流すことや勘違いや不知を利用し、人の信用を損なわせる犯罪行為です。

同様の手口を用いて業務を妨害する業務妨害罪とともに、刑法第2編35章「信用及び業務に対する罪」に規定されており、法定刑は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

信用毀損罪で保護の対象となるのは、経済的な側面における社会的な評価と販売される商品の品質に対する社会的な信頼です。

インターネット上の飲食店や商品のレビューなどで「A店では賞味期限の切れた食材を使っている」「B店でバイトをしていたが厨房は虫だらけだった」「ネットショップCで買った商品が偽物だった」などという内容を見かけることがあります。

このような信用に関わる内容が虚偽だった場合、信用毀損罪や業務妨害罪に該当する可能性があります。

(5) 2022年の法改正について

深刻化するネットやSNS上の誹謗中傷に対応するため、2022年に以下の2つの法改正が行われました。

① 侮辱罪の厳罰化

2022年7月7日の改正以前の侮辱罪の法定刑は、「30日未満の拘留・または1万円未満の罰金」という刑法の中でも最も軽いものでした。

今回の改正により、「1年以下の懲役もしくは禁錮・または30万円未満の罰金」が追加され、同時に公訴時効も1年から3年に延長されました。

これは、インターネット上特有の問題である投稿者特定に時間を要するという問題に対応するためです。

参考URL:侮辱罪の法定刑の引上げ Q&A(法務省公式サイト)

https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00194.html

② プロバイダ責任制限法の改正

プロバイダ責任制限法は、インターネット上への匿名での投稿によるトラブルに対応するために2001年に制定された法律です。

これにより、誹謗中傷などの権利侵害情報が発信されるなど正当な理由があると認められた時に、プロバイダに対して発信者情報開示請求を行うことが可能となりました。

しかし、2001年当時から、インターネット環境は大きく変化しています。インターネット環境の変化や、裁判手続きの煩雑さという制度上の課題を解消するために、発信者情報の開示請求に係る新たな裁判手続(非訟手続)の創設や、開示請求の範囲の見直しなどの内容を含む改正法が2021年4月に成立し、2022年10月1日から施行されることになりました。

参考URL:プロバイダ責任制限法Q&A (総務省公式サイト)

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/ihoyugai_04.html

3. 法的措置を取ることは可能か

最近、過激化するインターネット上の誹謗中傷に対し、著名人や芸能事務所が「目に余る投稿に対しては法的措置を取る」旨を表明することが増えています。

誹謗中傷は前述した通り犯罪行為に該当する場合がありますが、誹謗中傷の被害に遭った際に、法的措置を取ることは実際に可能なのでしょうか。

また、それはどのような手段で行えばよいのでしょうか。

(1) 刑事告訴が可能

前述した通り、誹謗中傷は名誉毀損罪や侮辱罪、場合によっては脅迫罪や信用毀損罪に該当するケースがあります。

こうした犯罪行為の被害に遭った場合、刑事告訴を行うことが可能です。

刑事告訴とは、犯罪の被害者が、警察や検察庁などに対して犯罪の事実を申告することで、犯人の処罰を求める手続きをいいます。

刑事告訴は被害者のみが行えるものであり、第三者が行う場合は告発となります。

ただ、名誉毀損や侮辱罪などを含む一部の犯罪は親告罪であり、親告罪は被害者か被害者の法定代理人(親権者、後見人など)による告訴がなければ提起することはできません。

告訴をするには、警察に告訴状を提出する必要があります。

「警察に被害届を出したが何もしてくれなかった」という話を耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、被害届を受理されたとしても捜査義務は生じないため、そのような事態が起こります。

しかし、告訴状を受理した場合は、警察や検察等の捜査機関に一定の捜査義務が生じるため、何もしてもらえずに放置されることはありません。

ただし、個人が警察に行って告訴状を提出しようとしても、証拠が不十分であるなどの理由で受理してもらえないというケースは多いようです。

告訴状を受理してもらうためには、加害者の行為がどのような罪に該当し、どのように告訴状を作成すれば受理されやすいかなど、刑事事件に精通した弁護士に相談するとよいでしょう。

なお、名誉毀損罪や侮辱罪などの親告罪の告訴には時効があり、「犯人を知った日から6カ月」までしか告訴できません。そのため、加害者を告訴したい場合は、なるべく早く行動することが大切です。

(2) 民事訴訟を起こすことで損害賠償請求が可能

誹謗中傷の被害に遭った方の中には、経済的な被害が生じ、その補填のため加害者に損害賠償を求めたいと考える方もいらっしゃるでしょう。

前述した通り、誹謗中傷は民法上の不法行為であると考えられるため、民事訴訟を提起する等により損害賠償を請求することが可能です。

これは刑事裁判が終了した事件についても行うことができます。

刑法と民法は全く別の法律で、同じ被害について訴えた場合でも、争われる論点や適用される規定が異なるからです。

そのため、刑事裁判で無罪や不起訴となった場合でも、民事訴訟では損害賠償請求が認められることや、反対に刑事裁判では有罪だったのに民事訴訟では認められないということもあり得えます。

また、刑法は国家と個人との間を規律する公法であり、民法は個人と個人との間を規律する私法です。

刑事裁判で有罪が確定して罰金などが科せられたとしても、罰金はあくまで国に対して支払われるものであるため、被害者の損害を補償するものではありません。

つまり、加害者に対して損害賠償を請求したい場合は、民事訴訟を起こす必要があるのです。

民事事件は前述した通り個人対個人の争いなので、警察や検察などの国家勢力は介入しません。

民事訴訟を起こしたい場合は、警察ではなく裁判所に対して訴状を提出することになります。

民事訴訟は、弁護士に依頼せずに行うことも可能です。

実際、近年の民事訴訟の内7割程が弁護士を介さない本人訴訟であるというデータもあります。

ただし、誹謗中傷トラブルの場合は、情報開示請求などの証拠集めにかかる手間や被告(加害者)側との交渉の際にかかるストレスを考えると、インターネット上の誹謗中傷に詳しい弁護士に依頼した方が望ましいでしょう。

4. SNSなどネット上の誹謗中傷の被害事例

実際にどのような誹謗中傷が起きているのでしょうか。

ネットやSNS上で誹謗中傷の被害に遭った有名人と一般人の事例をそれぞれご紹介します。

(1) 誹謗中傷により自死に至った有名人の事例

2020年に、ネットやSNS上で誹謗中傷の被害を受けた22歳の女子プロレスラーが自死するというとても悲しい事件が起きました。

この事件は、マスメディアでも大きく報道されたので、記憶されている方も多いのではないでしょうか。

報道によると、彼女が出演していた人気テレビ番組での言動などを巡り、インターネットの匿名掲示板やSNS等で激しい誹謗中傷を受けことにより大きなショックを受けて精神状態が不安定になったことが自死に至った原因だそうです。

この事件は国会等でも取り上げられ、前述した2022年の侮辱罪の法定刑の引き上げやプロバイダ責任制限法という2つの法改正が行われるきっかけとなりました。

(2) 一般人が受けた被害事例

誹謗中傷のターゲットとなるのは有名人だけではなく、一般人が被害に遭うケースも多いです。

大手Q&A掲示板に投稿されていた一般人の被害事例を紹介します。

投稿者はTikTokというSNSでライブを行い、視聴者からギフト(いわゆる投げ銭)を受け取っていたそうです。

また、ただ受け取るだけでなく、「自身のアパレルブランドの開発に充てる」「夢のために自分の知名度を上げたい」という内容で催促のDMも送っていたということです。

しかし実際は、そのお金を豪華な旅行や恋人へのプレゼントなどに使っており、そのことが視聴者側にも知られてしまったことから、掲示板に「銭ゲバ」「また金儲け」「人の金で豪遊」などと悪口を書かれるようになってしまったそうです。

自分にも非はあるものの耐えかねるため、「情報開示請求を行い、誹謗中傷で訴えることは可能か」「事実上のクラウドファンディング詐欺になっているとして逆に訴えられる可能性はあるか」と疑問に思い、Q&A掲示板に質問を投稿したようです。

回答者からは、以下のような内容の回答が寄せられていました。

  • DMを送ろうが課金はリスナーの判断による行為であり、質問者に非はない
  • 投げ銭の使い道については明確にする必要があり、場合によっては詐欺となる可能性もある
  • 誹謗中傷は名誉毀損や侮辱罪で訴えることが可能

この事例のように、誰もが気軽に投稿できる動画サイトなどが発端となり、誹謗中傷の被害を受けるケースは少なくありません。

投稿者は自分にも非があると感じていたようですが、誹謗中傷を受ける側の言動などに問題があったとしても、誹謗中傷が犯罪行為であることに変わりはありません。

参考記事:

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14260435384?__ysp=6Kq56KyX5Lit5YK3

5. SNSなどネット上で誹謗中傷を受けた際の対処法

実際にSNSなどのインターネット上で誹謗中傷を受けた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

具体的な対処法について説明します。

(1) 無視して様子を見る

誹謗中傷の内容が軽微なものである場合や一過性である場合は、まずは無視して様子を見ることをおすすめします。

反応することで相手を刺激してしまい、さらなる被害を招く可能性があるからです。

ただし、無視を続けていても、しつこく繰り返される場合や、あまりに酷い内容で他人にその投稿を見られることが耐えられない場合は、他の対策を検討しましょう。

(2) 証拠を保存する

無視できないような誹謗中傷の被害に遭った場合、投稿やDMをスクリーンショットなどで撮影し、保存しておくようにしましょう。

その際、サイトのURLや日時についても併せて記録しておくことが大切です。このような証拠は、法的な措置を取る際に必要となります。

(3) プロバイダや運営会社等に削除依頼を行う

掲示板やSNSなどに誹謗中傷を書き込まれた場合、その運営元に削除を依頼するという方法があります。

大手掲示板やSNSなどには、問い合わせフォームなどが設置されているので、そこから削除依頼を行うことが可能です。

削除依頼を行う際は、その内容のスクリーンショットやアドレスを添付する等、問題となる個所を明確に伝えた上で、削除して欲しい根拠についても記載するようにしましょう。

しかし、削除依頼をしても対応してもらえないという場合や、そもそもどこに削除依頼をすればよいかわからないというケースもあるかもしれません。

また、削除してもらった後も誹謗中傷が止まない場合など、自分の力で対処することができないケースもあるでしょう。

その場合、次章で紹介する相談先に相談するとよいでしょう。

6. 誹謗中傷を受けた際の相談先

SNS等インターネット上で誹謗中傷の被害に遭い、自分で対処しきれない場合、どこに相談すればよいのでしょうか。誹謗中傷を受けた際の相談先を紹介します。

(1) 公的相談窓口

SNS等インターネット上の誹謗中傷相談できる公的な相談窓口には以下のようなものがあります。

① 警察庁のサイバー犯罪相談窓口

誹謗中傷の中でも、特に自身の社会的な信用に関わる、または身の危険を感じるなど悪質な場合は、警察に相談することをおすすめします。

都道府県警察本部に設置されたサイバー犯罪相談窓口では、誹謗中傷を含むインターネット上の犯罪の通報や相談を受け付けています。

各都道府県のサイバー犯罪相談窓口は以下のページで調べることができます。

参考サイト:都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口一覧

https://www.npa.go.jp/cyber/soudan.html

② 総務省の違法・有害情報相談センター

総務省が管轄している違法・有害情報相談センターでは、誹謗中傷などインターネット上のトラブルの適切な対処のアドバイスや情報提供を行っています。

こちらでは、誹謗中傷の削除依頼のしかたや投稿者の特定方法など、インターネット上のトラブルに対する適切な対処のアドバイスを受けることが可能です。

公式サイトには削除依頼の流れなども記載されているので、詳しく知りたい方は参考にして下さい。

参考サイト:違法・有害情報相談センター

https://ihaho.jp/

③ 法務省のインターネット人権相談受付窓口

法務省では、インターネット上で人権相談を受け付けています。

相談フォームに氏名・住所・年齢・相談内容等を記入して送信することで、お住いの管轄の法務局・地方法務局から、後日メール・電話または面談により回答が送られてきます。

誰でも気軽に相談することができますので、誹謗中傷に悩まれている方は一度相談してみてはいかがでしょうか。

参考サイト:法務省インターネット人権相談受付窓口

https://www.jinken.go.jp/

(2) 誹謗中傷問題に精通した弁護士

誹謗中傷に対して刑事告訴や民事訴訟など法的措置を検討している場合は、インターネット上のトラブルや誹謗中傷問題に詳しい弁護士に相談するという方法もあります。

先に紹介した公的な相談窓口でも最終的には弁護士への相談を勧められることが多いため、早急に対処したい場合はまず誹謗中傷問題に精通した弁護士に相談した方が近道かもしれません。

7. 誹謗中傷問題を弁護士に相談するメリットと費用相場

「弁護士に相談するとなると、どのくらいの費用がかかるのか心配」という方もいらっしゃるかと思います。

誹謗中傷を弁護士に相談した場合に得られるメリットと、気になる費用相場について説明します。

(1) 刑事告訴も損害賠償請求も可能

誹謗中傷問題の場合、前述した通り、刑事告訴と民事訴訟という2つの種類の法的措置を取ることができます。

警察は刑事事件しか扱いませんが、弁護士は刑事事件も民事事件も両方扱うため、どちらにも対応することが可能です。

また、法律や過去の判例に精通した弁護士のアドバイスを受けることにより、警察に告訴状を受理してもらえる可能性が高くなります。

(2) 自分で対処する必要がなくなる

裁判の際には普段は行わない専門的な手続きが必要となりますが、弁護士に依頼することで手続きを代行してもらうことが可能です。

インターネット上での誹謗中傷問題の場合、まず相手がどこの誰であるかを知る必要があるため発信者情報開示請求が不可欠です。

しかし、法改正により多少簡略化されたとはいえ、この手続きを一般の人が個人の力で行うことは容易ではありません。

このような手続きを弁護士に任せることでスムーズに進めることができます。

また、弁護士という代理人を立てることで、誹謗中傷をした加害者に対して直接対応しなくて済みます。

加害者に直接対応するのは精神的な負担となるため、この点は大きなメリットといえるのではないでしょうか。

(3) 弁護士に相談する際の費用相場

誹謗中傷問題を弁護士に相談する際の費用は、事務所によって異なりますが一般的に30分~1時間で5000円程度です。

中には初回相談は無料で行っている事務所もあります。

実際に依頼する場合は、問題の詳細やどのような解決を希望するかによって費用が異なるため一概に言えませんが、費用の相場は以下の通りです。

  • 着手金:5万~20万程度
  • 報酬金:10万~20万程度(または得られた経済的利益の10~15%程度)

上記はあくまで相場の目安なので、実際にかかる費用については相談時に見積りを依頼して確認して下さい。

なお、損害賠償請求の際に弁護士費用や発信者情報開示請求にかかった費用の一部についても賠償が認められるケースもあります。

まとめ

今回は、誹謗中傷の定義、誹謗中傷がどのような罪に該当するか、法的措置を取ることは可能か、ネット上での誹謗中傷の事例、誹謗中傷を受けた際の相談先、弁護士に相談した場合の費用などについて解説しました。

ネットやSNS上に人の悪口を投稿する発信者は、遊び半分で深く考えていないことも多いですが、誹謗中傷の被害に遭われた方は、大きな精神的ショックを受けますし、「早く何とかしたい」という焦燥感を感じることもあるかと思います。

個人の力で対処するのは難しいことも多いので、被害に遭われた場合は一人で悩まずに、インターネット犯罪や誹謗中傷問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

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