いじめ 学校・教育

いじめ - 問題解決サポート

東京新生法律事務所濵門はまかど 俊也としや弁護士監修
2022.08.30

子供がいじめの被害者・加害者にならないために、インターネットを利用するなど多様化する中で、親はどのような対策・対処方法が取れるでしょうか。いじめ防止対策推進法など、いじめを早期発見・防止のための対策が取られています。いじめは犯罪にまで発展し、民事・刑事責任が発生する可能性があります。

ここでは、いじめにまつわる知識と、いじめなどの教育問題に注力している弁護士・法律事務所を紹介します。

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いじめ 問題解決サポーター弁護士

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いじめ

なくならない学校でのいじめ。法律の力で子どもを守れるか

新聞紙面では、いじめを苦にした自殺や、いじめが高じた傷害事件・殺人事件などの痛ましい事件が頻繁に報道されています。報道される事例はほんの一部で、学校の現場では児童生徒の多くがいじめの被害に苦しんでいます。表面に現れない隠れた事例も数えればその数は膨大にのぼるでしょう。

学校に通う子どもをいじめから守り、悲惨な事件の被害を防止するために法律を有効に使えないものでしょうか。今回は法律の力で子どもを守れるのか、という問題について解説します。

深刻化するいじめの問題

学校で子どもが仲間はずれをされる、傷付けられる、嫌がらせを受ける、などのいじめの問題は、最近明らかになったわけではなく、昔から存在していました。しかし最近は、いじめの態様や影響が非常に深刻化していると言われています。では、現在のいじめ問題はどんな問題があるのでしょうか。

いじめはどのくらい起こっているか

文部科学省によると、全国の小・中・高等学校及び特別支援学校においていじめ問題は、合計51万7163件が生じていると認知されています(令和2年度)。詳細は次のとおりです。

いじめの認知件数
文部科学省、令和2年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」
調査対象認知件数前年度
小学校42万897件48万4545件
中学校8万877件10万6524件
高等学校1万3126件1万8352件
特別支援学校2263件3075件
いじめを認知した学校数2万9001校3万583校

中学校では前年度より若干減少していますが、他の学校や全体の数としては増加しています。またこの統計はあくまでも学校や教育委員会が認知した件数のため、表面に現れない隠れた事例はさらに多くなると、容易に予想できます。

現在はいじめがより深刻化

一昔前には、いじめは特定のいじめっ子が弱い子どもに暴力をふるう、クラスの特定のグループで仲間外れに遇う、などもイメージがありました。

しかし現在では、いじめが昔よりも巧妙で陰湿に行われ、被害がより深刻化しているという問題が生じています。その原因としては、子どものストレスの増加や、スマホ、携帯電話、SNSなどの情報コミュニケーションの手段が発達したなどの、子どもを取り巻く環境の変化などが挙げられます。

学校のクラス全員が特定の生徒児童を無視したり、嫌がらせをするような行為。そしてSNSやLINEなどを利用したネットいじめの事例では、嫌がらせや中傷の書き込みがエスカレートすることも多いのです。

いじめのきっかけは、被害者がグループ内で少し目立った、行事などで小さな失敗をしたなど、いずれも普通に考えれば些細な出来事です。しかしいったんエスカレートすれば、いじめはなかなかやみません。被害者は精神的な苦痛を感じ続け、不登校になったり、不幸にも自殺する事態に至ることもあります。

いじめは学校という特殊な場所に関連して繰り返されるため、被害者の子どもの親が被害を食い止めようとしても、被害の実態を掴みにくく、根絶も難しいのが実情です。

いじめ防止対策推進法とは

では、いじめの問題が起こり、子どもが被害に遭ってしまったときに、どんな法律で解決できるでしょうか。

まず最初に、学校や教育委員会などの対応を求める方法が考えられますが、その際に利用できるのが、いじめ防止対策推進法という法律です。

いじめ防止対策推進法とは

2011年に滋賀県大津市で起きたいじめによる自殺事件をきっかけに、いじめ防止対策推進法が2013年から施行されました。

事件では、教師や学校がいじめの実態を知りながら放置したために、被害者の自殺を防げませんでした。その反省から、いじめの被害を食い止めるために、法律によって国や自治体、学校の果たす義務、具体的な対応策などが規定されました。

この推進法では、法律でいじめの行為を形式的に分けるのではなく、被害者が心理的・物理的に苦痛を感じるかどうかが重視されているのが特徴です。直接の行為のほか、インターネットを通じた行為も含まれ、学校の内外で起こったかどうかを問いません。

「児童等は、いじめを行ってはならない」(第4条)として、こうした行為が明確に禁止されています。

推進法でどんなことができる?

推進法では、国や地方自治体にいじめ防止に努力することを義務づけ、学校には専門家など各方面と連携しながら、いじめ防止に必要な組織を作ることなどを義務づけています。

学校側は、いじめの相談を受けたり、いじめが疑われる場合には、事実の確認などを行い、いじめの早期発見や防止の措置をとります。具体的には、被害者の支援だけでなく、加害者の児童生徒の指導、懲戒、出席停止などの措置がとられます。

また、いじめの被害者が自殺を考えたり、心身や財産に重大な被害を受けた、長期間不登校になるなどの深刻な事例を「重大事態」として扱います。速やかに児童生徒に対して事実の調査を行い、被害者やその保護者に必要な情報提供を行ったうえで、必要な措置を講じていくと定められています。

もはや「いじめ」と呼べない犯罪行為に対して

いじめの行為は、嫌がらせや中傷のようなものにとどまりません。中には、もはやいじめとはいえないような、犯罪行為の被害も見られます。

犯罪行為といえるような被害の特徴

いじめの被害によって被害者が受ける苦痛は甚大です。

しかし、加害者の児童生徒の側には、被害者にひどい苦痛を与え、犯罪行為に手を染めている自覚は、あまり見受けられません。加害者側が精神的に未熟なために、大人であれば刑事罰を恐れて手控える行為にも歯止めが利かず、集団で行ったり、安易にエスカレートしてしまいがちです。

これが、いじめ問題の根深さ、深刻さの原因の1つといえるでしょう。

ただ、たとえ児童生徒の行為とはいえ、犯罪として許されない行為であれば、相応の責任が問うことは可能です。

推進法は、いじめが犯罪行為にあたるとき、学校が警察に相談や通報を行うことを義務づけ、適切な援助を求めなければならないと定めています(第23条6項)。

犯罪行為にあたるときの刑事罰に対する責任

被害者に対して直接殴れば暴行罪(刑法208条)、傷を負わせれば傷害罪(同204条)が成立します。

被害者の持ち物を奪えば窃盗罪(235条)、金銭を巻き上げる行為は恐喝罪(209条)、脅して奪えば強盗罪(236条)も成立します。

SNSなどに被害者の虚偽の情報や名誉を傷付けるような投稿を行って中傷すれば名誉毀損罪(230条)などが成立しますが、たとえ仲間内しか見られないサイトでも成立する場合があります。最近は、学校の裏サイトなどによって被害者を中傷するケースも見られますが、多数の人間が見られる以上、同様です。

成人であれば、いずれも懲役刑さえ科される重大な犯罪です。

ただ児童生徒は未成年のため、少年法の保護を受けて大人と全く同じような刑事罰を受けないケースが多いでしょう。

また、加害者の児童生徒が刑事未成年(14歳未満)であれば、刑事罰にも問われません。

ただ刑事未成年でも、加害者は児童相談所に送られ、指導を受けたり、児童支援自立施設に送られて教育されることになります。もしも重大事件を起こしたときは、家庭裁判所での審判を受けることもあります。

たとえ加害者本人が刑事罰を問われなくても、被害者が被害を受ければ、加害者の保護者が監督者としての責任を追及され、民事上の損害賠償を請求されることもあります(民法709条、714条)。

いずれにしても、犯罪行為に手を染めた加害者本人や保護者には、法的責任を問う道があります。

子どもがいじめの被害者・加害者になってしまった時は

では、実際に子どもがいじめの被害者になってしまったら、どう対応すべきでしょうか。

子どもが被害者になってしまったとき

いじめの被害を受けるきっかけは、全く些細な出来事が原因です。子どもは家庭と離れた学校に独自の人間関係も持っています。そのため、親はいじめの兆候になかなか気づけないことも多く、気づいた時には被害が深刻化しているケースも多々あります。

被害を受けた子どもは、加害者の報復を恐れたり、解決を諦めたりして、なかなか親に事実を話そうとしないかもしれません。

しかし、いじめの問題を解決できるのは、子どもの親だけです。子どもの態度や体、持ち物などの微妙な変化に気を配り、いじめの兆候に気づくことが重要です。

いじめの被害に気づいたら、推進法の仕組みを利用して学校に相談し、解決をはかることになります。被害が深刻であれば、警察に対応を相談することも必要でしょう。

もしも、精神的な苦痛がひどい、金銭を要求されたなど深刻な被害のときは、民事裁判を起こし、損害賠償請求を行うことも必要です。

ただ、こうした法律による解決をはかるときは、いじめの事実を裏付ける客観的な証拠を備えておくことがとても重要です。

もし学校側に相談をしても、対応が鈍く、及び腰のときもあります。また、後日民事裁判を起こしたとしても、客観的な証拠が少なければ、いじめの事実を立証できずに、敗訴してしまう恐れもあります。

法律を手段に使って解決するにも、相応の準備が必要です。いじめの被害を証明できる証拠が散逸してしまわないように、証拠の物を確保し、体の傷やネット上の情報などの証拠写真を撮っておくなどの対応を取っておきましょう。

また、早い段階から弁護士などの専門家に相談し、対応のアドバイスを受けておくことも、非常に有効です。被害の状況や、学校・警察などの対応状況に応じて弁護士に同行してもらうなどの方法をとり、解決を目指しましょう。

子どもが加害者になってしまったとき

いじめの問題で特徴的なのは、被害者だった子どもが容易に加害者に変わってしまうという、複雑な態様もあることです。また、軽い気持ちで荷担したネット書き込みなどの行為が、被害者に大変な被害を及ぼしていたというケースもあります。

自分の子どもは加害者にならない、と安心することなく、子どもの些細な変化や学校での人間関係にも気を配っておくことが大切でしょう。

もし子どもが加害者になってしまったら、先に触れたような刑事上・民事上の責任が生じることがあります。被害弁償などは真摯な態度で行う必要があります。

ただ、いじめの態様は複雑なため、まずは本当に子どもが加害者なのか、どのような責任を負うかなどの、事実関係が不明確な場合も多いのが現状です。

もしも被害者側の主張ばかりが優先されて、濡れ衣が着せられているような状況のケースのときは、事実がどうなのかを見極めながら、親として子どもを守る対応も必要でしょう。

推進法により、いじめの早期発見や防止をする仕組みは法律によって整備されてきました。ただ、いじめの件数や痛ましい事件がやまない現状からは、仕組みはまだ不十分な点が多いといえます。親としては、こうした仕組みを有効に使いながら、いじめの解決を国や学校任せにしない姿勢も必要です。

被害者の親からは、加害者側に対して法律上の責任を問うことによって、問題解決の道筋をつけることができます。加害者側も被害の責任を負うことで、いじめ問題の深刻さを改めて自覚することになるでしょう。

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