M&A・アライアンス - 問題解決サポート
M&A・アライアンスは買収・合併・業務提携など、新規事業や業績不振の時に会社を発展・存続する上で重要な行為です。社内外の目が注目する場面ですので、トラブルや紛争は極力避けてスムーズにおこなう必要があります。会社法の知識はもちろん、法的知識を持って仕事を進めなければなりません。
ここでは、M&A・アライアンスの知識と、M&A・アライアンスに注力している弁護士や法律事務所を紹介します。
M&A・アライアンスは買収・合併・業務提携など、新規事業や業績不振の時に会社を発展・存続する上で重要な行為です。社内外の目が注目する場面ですので、トラブルや紛争は極力避けてスムーズにおこなう必要があります。会社法の知識はもちろん、法的知識を持って仕事を進めなければなりません。
ここでは、M&A・アライアンスの知識と、M&A・アライアンスに注力している弁護士や法律事務所を紹介します。
M&Aとは、企業の合併や買収の総称で、英語の「merger and acquisition(合併と買収)」から来ています。他の企業を取得しようとする際には買収者やその子会社などに吸収合併させるほか、買収先企業の株式を買収して子会社化する手段が用いられることから、およそ企業の取得という効果に着目して合併と買収を総称する言葉といえるでしょう。
M&Aは、新規事業や市場への参入、企業グループの再編、事業統合、経営が不振な企業の救済、資金手当てなどを目的として計画・実行されます。また広義には、包括的な業務提携やOEM提携なども含まれるといわれます。
M&Aに関して本格的な立法が整備されたのは、会社法によってです。平成18年に株式会社などの会社を規律する法律として、従来の商法その他の法令に代わり会社法が施行され、同法の制定により買収対抗策として用いることができる手段に関して新たに規定が設けられるなど、M&A実務に影響を与えました。また、金融商品取引法(旧証券取引法)が改正され、対象取引を拡大し、一部規制を強化する改正が同年に成立しました。
日本の大企業のM&Aの動機として多いのは、「国際競争力をつけるため」「国内市場競争力強化のため」「破綻企業再生のため」などです。
他方、中小企業のM&Aの譲渡側の動機として多いのは、「後継者問題」および「事業の将来性の不安」の二つでしょう。日本では昭和30年代、40年代に創業した多くの中小企業の創業経営者が後継者難に直面しており、この問題の解決策として中小企業の友好的M&Aが静かな流行となっているともいわれます。非上場会社の経営者が事業の継承を考えた時、「親族または社員への継承」「株式上場(IPO)」「清算」「M&A」の4つが選択肢としてはありますが、実際は消去法の結果としてM&Aという選択肢が浮上してくるという説もあります。
M&Aの代表的な手法には、以下のものがあります。
M&Aには、友好的なものと敵対的なものとに分けて考えられます。一般的な、いわゆる「友好的M&A取引」は、以下の手順で進められます。
基本合意書(MOU)を用いて、交渉に先立って一定の合意を行うことがあります。秘密保持や独占的交渉権、誠実交渉義務などの約定がなされ、またその手前で秘密保持契約(NDA)が結ばれることも多いといわれます。
対象企業のプライシング、契約書による必要な手当て、リスクの事前把握などを目的として、デューディリジェンス(「DD」)という一種の監査を行います。細かくは、当事者や投資銀行によるビジネスDD(事業DD)、弁護士や司法書士による法務DD、公認会計士による財務DDなどに分かれます。
合併契約書、株式売買契約書などの必要な契約書が作成され、締結されます。その内容は、当事者同士か、法務DDを担当した法律事務所、司法書士事務所が中心となって検討を行い、デューディリジェンスの結果を反映させることとなります。契約締結に先立って、必要に応じて、各当事者の社内手続(取締役会や株主総会などでの決裁)を経る、監督官庁(業規制当局や競争法当局)の許認可等を得なければならない場合があります。
契約によって定められた日に決済がなされ、M&Aが最終的に成立します。M&Aは登記が関わってくる場合が多く、登記が効力発生要件であることも多いため、司法書士による登記申請がM&A成立のシグナルとなることが多いです。
では敵対的買収はどのように進めるのでしょうか。
敵対的買収は、通常、買収対象会社の取締役会による同意が得られていない場合を指します。経営陣が買収提案に同意しない場合には買収防衛策の導入が図られたり、株主に対し会社経営陣として買収提案に応じないよう働きかけが行われたりすることから、買収の成否をめぐって買収提案者と会社経営陣などを中心に激しい闘争がなされることになります。
敵対的な買収は必ずしも「悪質」を意味するものではありませんが、対象となる企業の経営陣だけでなく、従業員・労働組合・取引先企業・下請けなどにとっても友好的とは言い難い敵対的な内容で、身勝手な買収がされるパターンもあり得ます。
また、買収側の企業や経営陣がドライな労働環境・労使関係や商慣行で広く知られていたり、あるいは短期的な自己の利益のため活動しており企業の長期展望など顧みない投資ファンドなどである場合には、買収の対象となった側の企業の内外において様々な情報や関係者間の不安が交錯し、自身の先行きに不安を感じた従業員の大量離職が短期間に発生したり、関係の行き詰まりを見越した取引先や下請けが取引を打ち切るなど、買収に様々なリスクが付いて回ることも少なくありません。
また、社内が混乱に乗じて競合企業から従業員にヘッドハンティングが仕掛けられる場合もあります。その結果として、買収が成立してもその企業から有資格者が流出し人数不足となってしまい、業務が停滞してしまうリスクを抱える場合もあります。目的と効果を熟慮することが求められます。
もともと日本では企業間での株式の持ち合いという慣習により、企業買収自体が困難でした。持ち合いは、取引先の企業・金融機関では取引関係の安定・継続の目的と相互株主保有の自社にとってのメリットがありましたが、しかしデフレ不況が続くもとで企業の保有資産の効率化の視点から、保有資産としての株式の収益性の悪さ、継続的取引が企業間の競争的な効率性の改善に支障になることなど、持ち合いについてマイナス面に限った指摘が増えてきたのも事実です。
たとえば外国資本や新興企業が市場や取引に新規参入する際には、株式の持ち合いが市場競争を促進するうえでの大きな障壁であるとされることなどを経て、株式持ち合いの解体が主張されるようになってきました。しかし近年企業買収の制度が整備されるなか、市場に対して大きな影響を与えずに進められる防衛策として、企業間の取引関係の強化を表向きの理由として第三者割当増資を行うといったやり方で効果を上げた例もあります。
これに対してもっとドラスティックな買収防衛策は、宣言的要素を伴うため、市場からの反応を招きやすく、株主のため、企業価値(狭義では配当および株価)の維持のために行うという本来の趣旨に沿ってないという意見もあります。
具体的買収防衛策として多いのは、ポイズンピル型といって既存株主に対して無償で新株予約権を交付するものです。
平成17年に経済産業省・法務省による指針が発表されました。この指針には法的拘束力はないものの、経済産業省のみならず法務省によって行動規範として用いられることが期待されているなど、一定の影響力を有するものとして捉えられています。
この指針において、取締役が買収対抗策を導入することについて、「意思決定機関としての株主総会は機動的機関とは言い難いから、取締役会が株主共同の利益に資する買収防衛策を導入することを一律に否定することは妥当ではない」と指摘した上で買収対抗策の導入、行使、廃止に当たっては以下の原則を充足すべきものとしました。
M&Aとは異なりますが、アライアンスという複数者間の業務上の協力関係を築く手法があります。
アライアンスには、技術開発・供与、生産、資材調達、物流、人材交流、販売促進など、さまざまな提携方法があります。相互の企業が経営的には独立性を保ちながら協力し合うというところを特徴とし、合併や買収といったM&Aとは全く異なります。企業の経営的独立性が保つことができ、提携の解消が可能であるメリットがある反面、継続性の保証や金融面での支援などが期待できないところがデメリットです。
生産、製造の一部を委託します。需要が好調な場合、自社での生産が追い付かないような状況で、委託側の企業に大きなメリットになり、受託側企業には生産量を増やせるために設備稼働率を向上させられます。他社へ委託する場合には、品質保持の観点から製造仕様書による詳細な指示や管理が必要になります。
技術力や商品力はあるが販売・営業力やノウハウを持たない、あるいは弱い企業や、新開発商品、新規分野などで販売ルートを持たない企業などがすでに販売ルートや販売ノウハウを持っている企業に販売を委託する場合などに有効といわれます。
企業が共同で技術開発を行う場合と、既存の技術を供与するケースがあります。技術の専門化、複合化が進むことで専門分野に特化した一企業だけでは新たな技術開発できない場合などに、複数のメーカーが相互協力することで新たな技術開発の可能性やスピードを高めることができます。また開発費用のリスク分散にも用いられます。
業務提携にとどまらず、資本参加や資本提携により、企業同士のより強固な関係を築く目的で行われます。またこの4.だけはM&Aの一つの形態とも考えられ、将来的には、経営統合や合併を前提とする場合などもあり得ます。