離婚案件・男女トラブルへの向き合い方や静岡に開設する事務所の展望について 長谷川弁護士へのインタビュー
長谷川 達紀 (はせがわ たつのり) 弁護士の第1回インタビューです。
長谷川 達紀 (はせがわ たつのり) 弁護士の第1回インタビューです。
──離婚訴訟の経験が豊富だそうですね。
今回独立するにあたって調べてみたら、これまで計500件以上手掛けていました。
慰謝料や財産分与、親権や面会交流に関するものや、そもそも離婚するしないの争いなどいろいろな案件がありました。
同じ時期に最大で50~60件抱えていた時期もありました。
──弁護士になる前から関心があったのですか。
弁護士を目指したのは、不正によって苦しむ人を減らしたかったからです。
細かいことは知りませんが、父の勤めていた会社が不正会計を行い、それが原因で倒産してしまったそうです。
再就職がうまくいかず、それまで仲の良かった両親がいがみあい、私も母の愚痴をずいぶん聞かされました。
福島県の田舎だったのでその会社に勤めていた人が近所にもいて、同様につらい思いをしたようです。
一つの不正でたくさんの人が不幸となってしまう場面を目の当たりにし、弁護士になれば、未然に違法行為や不正を防ぎ、多くの人を救えるのではないかと。
──それがなぜ離婚訴訟のエキスパートに?
最初に入った事務所はそれこそ企業法務、特に予防法務に力を入れているところだったのですが、私のやりたいこととは違うと感じました。
私は人と話すのが好きで、人間味を感じられる仕事がしたかったので、多くの時間を書類と睨めっこする業務は合わないかもしれないと思いました。
それで、企業法務だけでなく一般民事や刑事事件など広くいろいろな仕事を手掛ける事務所に移ったのですが、そこで担当した離婚案件が私の性格に合っていると感じ、離婚案件や男女トラブルを多く取り扱うようになりました。
──確かに離婚は人間の本質に触れるというか、むき出しの感情に触れるというか…。でも、そうした案件に向かい合い続けるというのは精神的にきつくないですか。
感情を揺さぶられることはあります。
特に子供が絡んだ時ですね。
離婚の話し合いをしている両親の手を、子供がつなごうとするのを見たことがあります。
離婚するときに一番かわいそうなのは子供です。
ですから離婚訴訟では子供のためということを常に意識しています。
一方で感情移入はしないようにしています。
離婚案件の場合、依頼者が感情的になっているケースが多いです。
もちろん気持ちは理解できることが多いですが、感情移入した結果、依頼者に不利な結果となってしまえば、何の意味もありません。
例えば、判決では500万円しか認められない見通しの案件で、依頼者は5000万円欲しいと希望している場合、5000万円を要求し続け、交渉が決裂するリスクを取るよりも、500万円よりも1円でも多く獲得する交渉をした方が依頼者の利益になります。
依頼者に寄り添いつつ違う方向から依頼者の役に立つ方法を提示することも大事だと考えています。
また、判決では500万円しか認められない見通しであったとしても、法律以外の部分で相手方の不利な事情を突くことで、交渉によりこちらに有利な条件を引き出すことができる場合があります。
依頼者にはその方法を丁寧に説明することで、感情論ではなく、どのような作戦を練ればこちらに有利な条件を引き出せるかということを説明し、納得感のある解決ができるよう心がけています。
──33歳と若いですが、メリット、デメリットはどう考えていますか。
デメリットはないです。
離婚案件・男女トラブルの経験では年配の先生に劣らない自信はありますし、むしろ最新の裁判例や裁判実務の動向は年配の先生方よりも把握していると自負しています。
また、フットワークにも自信があります。
事務所に電話をかけてもなかなか弁護士と話すことができない、弁護士からのメールの返信が遅いという悩みをよく耳にします。
弊所ではそのようなことにならないようスピード感を重視しています。
スピード感を重視することで、トラブルの早期解決にも繋がり、依頼者の利益に資することができると考えています。
──新しい事務所を静岡に開くのはなぜですか。
以前所属していた事務所が静岡に事務所を構えていて、そこで静岡の案件を多く手掛けました。
その時に静岡の人柄、場所、グルメなど、とても魅力を感じ、これからも静岡の方々の助けになれたらと思い、静岡に事務所を開設することにしました。
静岡出身の弁護士が一緒に事務所をやろうと言ってくれたのも理由の1つです。
その弁護士は来年の2月に入所予定です。
──新しい事務所でも離婚案件が中心ですか。
まずは得意分野としてそれを打ち出していきたいと思っています。
私は離婚関係だけでなく広く男女関係のトラブルも扱ってきました。
妊娠トラブルやストーカー被害事件、元交際相手からの暴力・脅迫被害、ハラスメントについても豊富な経験があります。
また、「家事事件」という点で、相続案件も多く経験してきましたので、相続案件にも力を入れたいと考えています。
離婚に伴う財産分与においては、相手の財産調査をすることがありますが、そのノウハウを相続案件に生かしています。
先ほどもお伝えしたとおり、来年2月には静岡出身の女性弁護士が事務所に来てくれることになっています。
私とは大学以来の付き合いで、現在はインハウスローヤーとして、IT関連の大手企業の法務部に所属しています。
大手法律事務所への出向経験もあるので、インハウスローヤーとしての業務だけでなく、通常の弁護士業務の経験も豊富です。
彼女には、インハウスローヤーの経験を生かして、企業法務にも力を注いでもらいたいと考えています。
また、離婚案件・男女トラブルについては、どうしても弁護士の男女を意識する方がいるので、男女そろっていることは依頼人の安心にもつながると思っています。
──相談しやすい事務所を目指すのですね。
新しい事務所は新静岡駅からすぐのペガサートというビルに構えました。
弁護士は敷居が高いという印象があると思いますが、私としては、気軽に相談に来ていただきたいという意味を込めて、静岡の方から馴染みのある出入りしやすいビルを事務所の所在地に選びました。
是非気軽に相談に来ていただきたいです。
法律論や原則論にとらわれず、依頼人と一緒に解決に向けて作戦を立てる、そういう姿勢で相談に臨みます。
──最後に、これから取り組んでみたいことを教えてください。
医療分野に関心があります。
医療ミスや薬害など、これまで専門的過ぎて法律的なアプローチが難しい分野でしたが、情報がオープンになってきているのと、医師の知人が多いので、検証が可能になると思います。
苦しんでいる依頼人に寄り添うことができるという意味で、やってみたい分野です。