「娘が夜になっても帰宅せず、友達も知らないと言っている……」
「夫が突然家を出て行ってしまい、何日も帰って来ない……」
ご家族や親族の方が何の連絡もせずに家を出て行ってしまった場合、残された家族は一体どうしたら良いのでしょうか?
警察庁の報告によると、平成28年の行方不明者の総数は8万4850人で、この10年ほど8万人台でほぼ横ばい状態にあります。
年間8万人の行方不明者というのは、決して楽観視していい数字ではありません。
家出した人がすぐに帰ってきたり、自分で見つけられたりすれば事なきを得ますが、何日も帰ってこない、見つからないとなると心配は募る一方です。
そんな行方不明者や失踪人の足取りを捜索するのが家出調査です。本記事では家出調査の方法や行方不明者・失踪者を早期に見つける方法について私達がリサーチした内容を元に解説します。
家出調査は自分でもできる?
行方不明になったご家族や親族の家出調査を、自力でおこなう方法です。
警察や探偵など外部の第三者に依頼しない方法のため、すぐにでも行動に移せるというメリットがあります。
ただし、何も手がかりがない状態での捜索は困難を極めるため、あらかじめ行方不明者の失踪が意図的なものかどうか、失踪当時の所持品や遺書・書き置きの有無で推測するようにしましょう。
(1)行方不明者の友人・知人関係から情報を集める
家出調査をたったひとりでやることは、時間も労力もかかります。
自分で家出調査をおこなう場合は、行方不明者の友人・知人に行き先を知らないか、連絡が来ていないか、いつまで一緒に居たかなど、聞き込みをしましょう。
家族には行き先を告げなかったが、友人・知人には行き先を知らせていたというケースもあります。
また、捜索の輪が広がれば、それだけ発見までのスピードも早くなる可能性が高くなります。
(2)SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用して調査する
X(旧Twitter)やFacebook(フェイスブック)、LINE(ライン)などSNSを利用する人が多くなっています。
もし行方不明者のSNSのアカウントがわかれば、SNS上の友人・知人(フォロワー)に連絡をする方法や、不特定多数のユーザーに向けて行方不明者の写真や特徴などを記載し、捜索を呼びかける方法もあります。
SNSは不特定多数のユーザーに瞬く間に拡散するという特性があるため、これを利用すれば実際に足で捜索するよりも多くの人に情報が行き渡ります。
(3)行方不明者が行きそうなところを調査する
自宅から学校や職場までのルートや、友人・知人宅からの帰り道、あるいはコンビニやファミレスといったよく行くお店など、行方不明者が普段から行きそうな場所や通る場所を調査しましょう。
行方不明者が普段から携帯電話やスマホを持ち歩いているのであれば、普段からよく通っている場所に居ながら、バッテリー切れなどで一時的に連絡が取れない状況にある場合も考えられます。
また、行方不明者が事件に巻き込まれている場合は、足取りをつかむ痕跡が見つかることもあります。
警察に家出調査を依頼する場合
警察に家出調査を依頼する場合は、親権者や配偶者、恋人など行方不明者と何らかの関係がある人ならば、行方不明者届を提出することで、警察が家出調査に動いてくれる場合があります。
とくに事件性がある場合は、早い段階で警察に届け出るようにしましょう。
ここでは、警察に家出調査を依頼する場合の注意点をご紹介します。
(1)行方不明者届を出して当日~1週間以内が最も発見率が高い
ご家族が行方不明になった場合、事件性があるという確固たる証拠がなければ、「そのうち連絡してくるだろう」という楽観的な考えで、警察に家出調査の依頼を出さない人が多いものです。
警察庁の調査によれば、届出が受理された当日に警察の捜索によって行方不明者が発見される確率が最も高く、受理2日~7日後と8~14日後では、発見される件数が10分の1まで下がってしまいます。
つまり、警察に家出調査を依頼する場合、行方不明者届を出して当日~1週間以内が最も発見率が高いということが言えるのです。
行方不明者が成人で、実家に戻っていたり、友人宅に行っていたりする可能性が高い場合は、そのうち帰ってくる可能性も高いと考えられますが、家出する理由が明確でない場合は、早期に警察に家出調査を依頼しましょう。
(2)すぐに警察が動いてくれるとは限らない
警察が行方不明者届を受理したからといって、すぐに調査が始まるわけではありません。
警察は行方不明者が何らかの事件に巻き込まれた可能性があると考えられる場合、あるいは行方不明者が年少者や病人、高齢者といった「特異行方不明者」であると判断した場合は、迅速かつ積極的な捜索をおこなう可能性が高くなります。
特異行方不明者に該当するのは、次のような人です。
この規則において「特異行方不明者」とは、行方不明者のうち、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
- 殺人、誘拐等の犯罪により、その生命又は身体に危険が生じているおそれがある者
- 少年の福祉を害する犯罪の被害にあうおそれがある者
- 行方不明となる直前の行動その他の事情に照らして、水難、交通事故その他の生命にかかわる事故に遭遇しているおそれがある者
- 遺書があること、平素の言動その他の事情に照らして、自殺のおそれがある者
- 精神障害の状態にあること、危険物を携帯していることその他の事情に照らして、自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがある者
- 病人、高齢者、年少者その他の者であって、自救能力がないことにより、その生命又は身体に危険が生じるおそれがあるもの
しかし、たとえば行方不明者が「探さないでほしい」という旨の書き置きを残している、あるいは行方不明者本人が捜索願不受理届を警察に提出している場合は、本人に家出の意思があると認められるため、警察が調査に動いてくれるわけではありません。
(3)行方不明者届を提出後、当人が帰宅した場合
行方不明者届けを提出後、当人が帰宅した場合は行方不明者届けを取り下げる方法があります。
行方不明者届を出した本人が警察署の生活安全課に直接行って、いつ届け出た行方不明者届を取り下げたいのかを伝えます。
場合によっては本人確認書類や書類への署名など、何らかの手続きが必要な場合もあります。
あるいは、警察署まで足を運ばなくても、行方不明者届を出した警察署の生活安全課に電話で必要事項を伝えて取り下げてもらう方法もあります。
ただし、直接行く場合と同様に届け出をした本人が、取り下げを申し出なければなりません。
家出調査を学校や会社でできるだけ大ごとにしたくない場合
家出調査は、なるべく行方不明者の友人や知人に協力してもらったり、インターネットの拡散力を活用したり、警察に動いてもらったりして、行方不明者の身の安全を早期に確保することが重要です。
しかし、かえって大々的にやりすぎて、想像以上に大ごとになってしまう場合もあります。
あまりに周囲が騒ぎすぎたことで、行方不明者が学校や会社で肩身が狭くなると判断し、余計に家出調査が困難になってしまうことも無きにしもあらずです。
また、書き置きなどなかったとしても、行方不明者には家出した何らかの理由があることも考えられます。
家出調査は慎重に、なおかつあまり大ごとにしない方がかえってうまくいく場合もあるのです。
大々的な家出調査で行方不明者にプレッシャーをかけたくない場合は、人探しのプロである探偵事務所に依頼することをおすすめします。
(1)探偵に家出調査を依頼する方法
人探しのプロである探偵は、家出調査の依頼人や行方不明者の個人情報や秘密を守りつつ、確かな調査能力とネットワークで短時間に行方不明者を発見します。
探偵に家出調査を依頼するためには、まずは無料の電話相談やカウンセリングを利用して、行方不明者の特徴や行方不明当時の状況を説明する必要があります。
このとき、捜査に役立つ行方不明者の写真や所持品、失踪の原因として考えられることなどできる限り情報を伝えられれば、調査にかかる時間や費用を抑えることができます。
(2)探偵に家出調査を依頼した場合の費用
探偵による家出調査は、調査方法や調査にかかる人員の数、期間によって大きく異なります。
1回の家出調査にかかる費用は、およそ50万~80万円が相場とされています。
探偵事務所によって料金プランも異なるため、一概にいくらとは断定できませんが、調査の人件費や機材費などがかかれば、それだけ調査費用もトータルで大きくなります。
そのため、探偵に家出調査を依頼する場合は、依頼者が行方不明者の手がかりとなる情報をなるべく多く提出することが求められます。
(3)探偵が家出調査を断る場合もある
探偵は警察に届け出る場合と異なり、事件性の有無にかかわらず、依頼後すぐに家出調査に動き出します。
ただし、依頼人が悪意を持って行方不明者の捜索を依頼した場合は、この限りではありません。
たとえば、ストーカー犯罪の手助けになる可能性がある場合や、DV(家庭内暴力)が原因による家出の可能性がある場合は、探偵に家出調査を依頼しても断られる可能性が高いでしょう。
また、探偵の人探しの成功率は50~60%とも90%とも言われています。
どれだけ実績のある探偵といえども、警察のように住民の名前や住所が記載されたデータベースで検索できるわけではありません。
そのため、探偵の調査は絶対ではないことを前提として、高額な依頼料に見合う、信頼できる探偵を見極めることが大切です。
まとめ
行方不明者を見つけるための家出調査について、自分で調査する方法と、警察に依頼する方法、なるべく秘密にして探偵に依頼する方法をご紹介しました。
それぞれの方法に長所・短所がありますが、「最短で見つけるためには?」という観点で見れば、探偵に依頼することが一番の近道と言えるでしょう。
いずれにせよ、家出した本人に明確な家出の意思がある場合を除き、ご家族や知人の行方がわからなくなった場合は、速やかに家出調査を開始しましょう。