「家族が突然いなくなった」「恋人が何日も帰宅していない」といった事態に対して、配偶者や家族、恋人が行方不明者届を出したとしても、警察が積極的に捜索に動いてくれるかどうかは、行方不明者のタイプによって異なります。
行方不明者と一口に言っても、一般家出人と特異行方不明者の大きく2つのタイプがあります。
特異行方不明者については、下記の記事で詳しく解説していますので、今回は一般家出人について、警察がおこなう捜索や、早期に発見するための具体的な方法を私達がリサーチした内容を元に紹介します。
行方不明者(一般家出人)とは?
一般家出人に該当する行方不明者とは、事件に巻き込まれた可能性が低く、自らの意思で家出した人のことです。
たとえば借金を抱えて家を出たり、家族と喧嘩してプチ家出をしたりなどは、事件性が低いと判断され一般家出人となります。
プチ家出の場合も家出したのが18歳未満の年少者なら、特異行方不明者に該当するため警察が動く可能性がありますが、成人の場合は一般家出人として扱われます。
ただし、一般家出人だからといって、警察が何もしないというわけではありません。
特異行方不明者のケースと違って積極的な捜索はおこなわれませんが、警察本部のデータベースに家出人の情報が登録、全国の警察署・交番などでデータが閲覧できるようになります。
警察がパトロールや補導で家出人と接触したり、何らかの情報提供があったりした場合は、発見に繋がる可能性が高くなります。
一般行方不明者への警察の対応
事件性の低い一般行方不明者の失踪は民事に該当するため、民事不介入の原則を持つ警察が積極的に捜索に動くことはありません。
たとえ行方不明者の関係者から、行方不明者届が出されたとしてもです。
警察は失踪した人が特異行方不明者に該当するケースや、事件性が非常に高いとされるケースで、行方不明者の命が危険にさらされるような場合に限り、積極的に捜索をおこないます。
さらに、行方不明者が捜索願不受理届けを警察に出しているケースもあります。
捜索願不受理届とは、行方不明者が「探してほしくない」「居場所を知られたくない」という意思を警察に書面で届け出るもので、たとえ関係者から行方不明者届が出されても、警察は届出人の意思を尊重し、捜索をおこなうことはありません。
警察が捜索に動いてくれない場合は、家族や恋人など関係者が中心となって捜索するか、人探しのプロである探偵事務所に相談することをおすすめします。
行方不明者(一般家出人)を捜索するために取るべき7つの行動
警察が一般家出人の捜索に積極的でないからと言って、家族や恋人など行方不明者の関係者ができることが何もないということではありません。
行方不明になったことに気づいてからすぐに行動を起こすことで、行方を突き止めたり、居場所がわかったりします。
ここでは、一般家出人に該当する行方不明者を捜索するために取るべき7つの行動をご紹介します。
(1)書き置きの有無を確認する
行方不明者が事件に巻き込まれた可能性があるかどうか、判断する方法のひとつが書き置きの有無を確認することです。
家族や恋人あてに「探さないでください」などと言った内容の書き置きやメモがあった場合は、行方不明者本人の意思による家出と考えられます。
書き置きの内容を見れば、行方不明者が不安や悩みを書いている場合がありますし、何が原因かを突き止めることもできるかもしれません。
書き置きがあるということは、事件性がほとんどなく命が危険にさらされる最悪の事態もないと、いったんは安心することもできるでしょう。
書き置きは警察や探偵に行方不明者の捜索を依頼する際の重要な手がかりとなります。
家族や恋人が突然いなくなったり、いつまでたっても帰宅しなかったりした場合、まずは冷静になって書き置きがあるかどうかを確認しましょう。
逆に何の書き置きや連絡もなく失踪した場合は、誘拐などの事件に巻き込まれた可能性も否定できないため、一刻も早く警察に届け出ることが重要です。
(2)電話の履歴やメールを確認する
書き置きは手書きのものだけとは限りません。家出した後からメールやLINE(ライン)などで代替わりされる場合もあります。
本人から家出を示唆するようなメッセージが届いていないかどうか、メールボックスやLINEを今一度確認するようにしましょう。
(3)X(旧ツイッター)やラインなどのSNSを確認する
最近では、X(旧ツイッター)やフェイスブック、LINEなどのSNSを利用している人が多くなっています。
もし行方不明者がSNSを利用していたら、家出に関連することや行き先のヒントが書かれているかもしれません。
さらに、SNSは不特定多数のユーザーに対して、行方不明者の情報提供や捜索の協力を呼びかけることのできる強力なツールでもあります。
SNSを上手く利用すれば、関係者だけで捜索するよりも遥かに早く発見につながる可能性が高くなります。
従来は行方不明者の情報を載せたチラシやポスターなどを貼る手段が主流でしたが、拡散力や効率を考えるなら、SNSを活用しない手はないでしょう。
(4)友人・知人に行方を聞いてみる
行方不明者が書き置きなどを残さずに家出をしたとしても、普段から一緒にいる友人や知人には悩みを打ち明けていたり、行き先を告げていたりする場合も多いものです。
また、行方不明者の友人・知人から失踪の足取りをつかむヒントが得られる可能性もあります。
先ほど紹介したSNSで拡散する方法は、家族の家出を世間に公表したくなかったり、大ごとにしたくなかったりするケースでは有効とは言えません。
しかし、関係者だけで捜索するには限界があり、時間も労力もかかります。
行方不明者の友人・知人に本人から家出について相談を受けていないか、行き先に関して何か話をしていないかなど、捜索のヒントになるような情報を聞き出すと良いでしょう。
たとえ行方不明者本人が口止めしていたとしても、事態が急を要する場合は協力してくれるはずです。
(5)行方不明者の所持品を確認する
行方不明者の所持品から、行き先や家出の期間を推測することができます。
また、自宅に何を残して失踪したかは、警察や探偵が捜索する際のヒントにもなります。
たとえばキャッシュカードやクレジットカード、スマホ・携帯電話、数日分の着替えは、家出した先でお金を使ったり、中長期間の宿泊をしたりということが考えられます。
もし所持金や着替えが少なければ、実家や友人宅などに居候する可能性もあるでしょう。
あるいは、自宅に財布やスマホ・携帯電話などを置いたまま行方がわからなくなった場合は、本人の意思による家出というよりも、事件事故などに巻き込まれた可能性が高いと判断できるため、すぐ警察に行方不明者届を出すようにしましょう。
(6)警察に行方不明者届を提出する
行方不明者本人による書き置きがあったとしても、また特異行方不明者に該当しない人が失踪したとしても、完全に事件性が否定されたわけではありません。
家出して一人でいるところ、事件や事故に巻き込まれる可能性もあるからです。
たとえば、2014年に起こった栃木の段ボール箱遺棄事件は、埼玉県の児童施設を飛び出した14歳の少女が、栃木県の県道沿いでダンボールに入れられた状態で遺体となって発見された事件です。
「いつもの家出だろう」「そのうち帰ってくるだろう」という態度では、万が一行方不明者が事件に巻き込まれても、すぐに対応することができません。
栃木の事件のケースは行方不明者が年少者であったことで警察が動いたとも考えられますが、これが成人でも事件に巻き込まれる可能性が無いとは言えません。
警察が積極的に捜索に動いてくれないにしても、行方不明者届は提出しておくに越したことはないでしょう。
家出人の配偶者や同居人、恋人といった近親者であれば、家出人の失踪時の住居地、または失踪時の場所を管轄する警察署に行方不明者届を出すことができます。
届け出るときには、届け出る本人の身分証明書と印鑑が必要となります。
行方不明者届には、家出人の氏名、住所、年齢、特徴(容姿や服装)などの基本情報はもちろん、家出した原因や動機まで、捜索の手がかりとなることをなるべく多く記載するようにしましょう。
(7)探偵事務所に相談する
行方不明者が一般家出人に該当する場合、警察が積極的に捜索に協力してくれないため、関係者で捜索に動く方法か、家出した本人から連絡が来るまで待つという方法があります。
しかし、実際は関係者にも仕事や学校、プライベートがあるため、家出人の捜索に時間をかけられないという問題があります。
そういった場合、頼りになるのが人探しのプロである探偵です。
たとえ家出人が「探さないでほしい」という内容の書き置きを残していたとしても、刑事事件でなければ積極的に動かない警察と違って、探偵なら捜索に協力してくれます。
探偵事務所に捜索を依頼する場合も、警察に行方不明者届を出すときと同じように、氏名や年齢、特徴など捜索に必要な情報をできるだけ多く提供しましょう。
捜索の手がかりが多いほど早く行き先を突き止める可能性が高くなり、そのぶん費用も抑えることができます。
まとめ
行方不明者本人の意思による家出は事件性が低く、警察も積極的に捜索に協力してくれないというのが現実です。
しかし、たとえプチ家出であっても「事が起きてからでは遅い」ということは念頭に置く必要があります。
家出人が無事かどうかの確認は、配偶者や家族、恋人がとる行動によります。まずは捜索の手がかりとなる証拠を集めたり、友人・知人に協力を要請したりするなど、自分でもできることから始めましょう。
また、早期の発見にはプロの協力が欠かせません。捜索の手がかりが集まったら、人探しのプロである探偵事務所へ依頼することをおすすめします。