みなさんは失踪者が失踪中の状態はいつまで続くのかをご存じでしょうか?
実はある一定の期間を過ぎると、失踪者の扱いは死亡と認定され法律上は亡くなっている人という扱いにします。
失踪か死亡かを法律的とは言え区別することは心中お察ししますが、失踪者をいつまで失踪中としておくことは、同時にさまざまな手続きに支障をきたしてしまいます。
本記事では私達がリサーチした内容を元に失踪宣告や死亡届について解説してゆきますので、参考にしてみてください。
失踪宣告とは?
そもそも失踪宣告とは、対象者が行方不明になって7年が経過すると申告できる制度です。
この失踪宣告をすると家庭裁判所での手続きを経て対象者が失踪中から死亡として認められます。
また、船の遭難や戦争などの特殊な条件下において失踪した方については、特例として1年が経過した時点で失踪宣告できます。
そして、失踪宣告をする目的として相続・死亡保険金・離婚手続きなどが挙げられます。
これらは対象者が失踪中のままでは行えない手続きのため、どうしても失踪なのか死亡なのかを法律上で明確にする必要が出てきます。
ちなみに、相続についてはいわゆる財産分与のことであり、土地や家屋、さらには有価証券などの資産価値のあるものを分与することを指しています。
また、死亡保険金については、その名の通り対象者が死亡していなければ保険金を受け取ることができないため、失踪か死亡かを明確にする必要があります。
離婚に関しても失踪中では手続きができませんが、3年間経てば家庭裁判所へ提訴し手続きを行うこともできます。
さらに、離婚については不倫・浮気など相手の都合による失踪の場合には、3年間待つ必要がなく離婚手続きが行える場合もあるため、詳しくは弁護士または探偵に相談しましょう。
失踪者が死亡認定される条件とは?
失踪には2つの種類があり、前述した7年間行方不明の状態を普通失踪と呼び、1年間遭難や戦争などで行方不明になった状態を特別失踪と呼んでいます。
基本的にはこれらの年数を経過し失踪宣告を行うことにより、そこで初めて死亡と認定されることになっています。(民法第30条)
ちなみに、この死亡認定を受けるための手続きに必要な書類も確認しておきましょう。
まずは失踪を宣告するための申込書が必要です。
これは一般的には家事審判申立書と呼ばれています。
次に失踪した方の戸籍標本と附表が必要です。
戸籍標本や附表について詳しくない方でも役所で丁寧に教えてくれるため問題ありません。
また、失踪宣告をする上で重要となってくる書類の一つに、失踪者が確かな行方不明者であることを証明する書類が必要となってきます。
具体的には、警察へ提出した行方不明者届け(旧捜索願)など、行方不明者であることを裏付ける証拠が必要です。
これらの手続きを完了して初めて死亡届を提出できます。
この死亡届を出すことにより、戸籍上も失踪者の死亡という形で法律的に証明できます。
死亡認定後の手続きについて
ここまでの手続きを終えてすべて終わりではありません。
前述した通り対象者が失踪中から死亡であると法律的に認められたことで、死亡により申請・継続・解約しないといけない契約も出てきます。
例えばですが、死亡と認定されたことでまず始めにやるべきこととしては、葬儀関連が挙げられます。
葬儀場の手配や親族への連絡は慣れていないと膨大な時間を費やすことになるため注意が必要です。
また、死亡保険または終身保険などへの請求手続きも忘れてはいけません。
これらの保険関連は、基本的に親族が自発的に行動しなければ契約が履行されることはないため、事前にしっかりと契約内容の確認や条件を確認しておくことが求められます。
そして、遺族年金の手続きや相続の問題も残されています。
遺族年金に関しては、難しいと感じても役所に相談することにより解決できますが、相続だけは一筋縄ではいきません。
「金の切れ目が縁の切れ目」と言いますが、親族間と言っても財産分与では大なり小なり問題が起こることが予想されます。
事前に遺書などを残している場合には、後日裁判所などから書面が届きますが、そうでなければ親族間での話し合いが必要です。
失踪から死亡認定されることにより残された親族のやるべき手続きはいくつもあります。
未だどこにいるのか分からない失踪者ですが、一度法的に死亡認定と区切りをつけるならば、しっかりと死亡認定後の手続きもしてあげましょう。
死亡認定後に生存が確認された場合
これを読んでいる方の中にはそんなことがあるのかと思っている方も少なからずいるかもしれませんが、実は少なくないのが死亡認定後に生存が確認されることです。
失踪して何年後かに失踪者が見つかるというケースもあり、その理由としては近年の警察・探偵のスキルの向上やテレビ番組の影響もあるのではないでしょうか。
失踪者が見つかるということは喜ばしいことなのですが、手続きのことを考えると膨大な労力と時間がかかります。
死亡を認定する方法は前述した失踪宣告の他にも認定死亡という方法もあります。
この認定死亡とは、戸籍法第89条にもある通り死体が見つからない場合でも確実に死んでいると思われる状況に限って死亡を認定するというものです。
よって、生存が確認された場合には、この認定死亡か失踪宣告のどちらかを取り消すという流れが発生します。
ちなみに、この取り消す手続きが非常に大変な作業なのです。
認定死亡の場合に関しては、失踪者が死亡しているとあくまで認定するだけですので生存へと訂正を行うことは容易なのですが、失踪宣告の場合はそうはいきません。
失踪宣告についてはそう簡単に死亡から生存へと訂正することはできず、家庭裁判所にて失踪宣告を取り消すことを審判する必要があります。
つまり、労力も時間もかかるため生存していたことに対する喜びの反面、手続きが非常に面倒であるという煩わしさも生じてしまいます。
しかし、その後の手続きを適正に行うためには失踪宣告や認定死亡の取り消しを行う必要があるため、しっかりと調べた上で取り消しを行ってください。
手続きが分からない、または手続きするか悩んでいる場合
失踪宣告や認定死亡の手続きなど、それに付随する手続きも含めると役所や裁判所などへ出向く機会が増え、慣れない手続きをいくつもこなす必要が出てきます。
そのような場合は弁護士などの法律の専門家に一度相談することをおすすめします。
遺産相続を扱っている弁護士であれば代行手続きや、どのような方法を取るべきかアドバイスしてくれます。
反対に失踪宣告や認定死亡として良いか悩んでいる場合は、手続きを進めてしまう前に人探し・失踪者探しの専門家に相談することをおすすめします。
具体的には探偵社へ依頼となります。
なぜ探偵社なのかと思われた方もいるかもしれませんが、探偵は失踪者や行方不明者を探すプロフェッショナルであるのと同時に、それらの法律に関しても一通り把握しているからです。
失踪者を見つけるだけではなく、失踪者が見つかった(もしくは見つからなかった)後の流れ、失踪の再発防止に向けてのカウンセリングなど丁寧に対応してくれるため、安心して依頼できるのがメリットです。
警察とは異なり初動が早くアフターフォローサービスもあります。
探偵へと依頼した上で予算を相談し、部分的には費用軽減として自力で行うこともできるため、気兼ねなく相談することがベストです。
まとめ
今回は失踪宣告や認定死亡について解説しました。
大切な方が失踪してしまい不安に思われている時だからこそ、今後残された家族としてどうしていくべきなのかをしっかりと考えていく必要もあります。
手続きを迷う場合は失踪や行方不明の専門である探偵へ相談してみましょう。